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『海を撃つ』安東量子(みすず書房)

『海を撃つ―福島・広島・ベラルーシにて』安東量子(みすず書房)

2019年
296頁




目次(収録作品)

1 あの日
2 広島、福島、チェルノブイリ
3 ジャック・ロシャール、あるいは、国際放射線防護委員会
4 アンヌマリーとアナスタシア
5 末続、測ること、暮らすこと
6 語られたこと、語られなかったこと
7 その町、その村、その人
8 ふたたび、末続
9 海を撃つ

1976年生まれの著者は、植木屋を営む夫と独立開業の地を求めて福島県いわき市の山間部に移り住む。震災と原発事故直後、分断と喪失の中で、現状把握と回復を模索する。
放射線の勉強会や放射線量の測定を続けるうちに、国際放射線防護委員会(ICRP)の声明に出会う。
著者はこう思う。「自分でも驚くくらいに感情を動かされた。そして、初めて気づいた。これが、私がいちばん欲しいと願っていた言葉なんだ、と。『我々の思いは、彼らと共にある』という簡潔な文言は、我々はあなたたちの存在を忘れていない、と明確に伝えているように思えた。」
以後、地元の有志と活動を始め、SNSやメディア、国内外の場で発信し、対話集会の運営に参画してきた。「原子力災害後の人と土地の回復とは何か」を摑むために。
事故に対する関心の退潮は著しい。復興・帰還は進んでいるが、「状況はコントロールされている」という宣言が覆い隠す、避難している人びと、被災地に住まう人びとの葛藤と苦境を、私たちは知らない。
地震と津波、それに続いた原発事故は巨大であり、全体を語りうる人はどこにもいない。代弁もできない。ここにあるのは、いわき市の山間に暮らすひとりの女性の幻視的なまなざしがとらえた、事故後7年半の福島に走る亀裂と断層の記録である。

出典:みすず書房公式サイト

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