1996年
250頁
目次(収録作品)
1 野の花と造花と
2 野外からの報告―今日の昔話(昔話をたずねて/語り手誕生/あいづちに結ばれて)
3 昔話の展望(年輪を追って/笑話の系譜/命あるものも命なきものも―鳥獣草木の昔話/語りの楽しさ/くりかえしの方法)
4 民衆のもの―昔話(昔話の生命力―伝承と創意/昔話は戦う/この大樹の未来)
昔話は長い年月のあいだ、口伝えで生きつづけてきた。驚くなかれ、数百話の昔話を保有する語り手たちの数々―人類史上連綿と続いてきた口伝えの環が、いまや失われようとする最後時期に遭遇して、その秘密を、調査・採訪の旅からの報告を交えて解き明かす。無数の語り手と聞き手とが共同で伝承し、創造してきた昔話には、聞き手のあいづちの打ち方ひとつにまで形式が浸透している。語りはじめと結びの際の決まり文句、語り口、語句やモチーフの繰り返し、話の型などに着目、経験を受け渡す技術として口承文芸=昔話の核心に迫り、文字をもたない人々の奥深い知恵に耳を傾ける。
出典:筑摩書房公式サイト
(筆者が読んだのは三省堂新書版(旧版))
著者は、国文学・民俗学者。(1925-2008)
本書は昔話調査の採訪のエピソードなども交え、口承文芸の昔話についてエッセー的に論じたもの。
昔話に興味がある人には、なかなかよい本だろう。
ちくま学芸文庫版は、新版。ページ数が多いので増補されているかもしれない。
[関連]
『昔話は生きている』稲田浩二(1970・三省堂新書)200頁
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