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『日本の古典を読む6 竹取物語/伊勢物語/堤中納言物語』(小学館)

『日本の古典を読む6 竹取物語/伊勢物語/堤中納言物語』片桐洋一・福井貞助・稲賀敬二 校訂・訳(小学館)

2008年
318頁




目次(収録作品)

平仮名と物語の発生 石川九楊
物語の姫君たち 佐野みどり

竹取物語
伊勢物語
堤中納言物語

本書は、新編日本古典文学全集第12巻[amazon]、および第17巻[同前]から、現代語訳と原文を掲載したもの。(注はない)

「竹取物語」は全文、「伊勢物語」は全125段中、有名な33段を、「堤中納言物語」は、「花桜折る少将」「虫めづる姫君」「はいずみ」の三編を収める。

書き下し文と現代語訳(口語訳)の構成で注はない。

単行本なので画面がひろく読みやすくてよいが、訳は(悪くはないが)それほどよいとは思わない。『竹取物語』なら、コラムの情報も作品理解に役立ち、訳文もよい『竹取物語(全)』をおすすめする。
また、手前味噌になるが筆者の私訳もおすすめ。

それから、注がないので作品内に多くある和歌の意味がよくわかないところが散見された。掛詞なども説明されていないので、分かりにくい。
特に分からなかったひとつを挙げる。

『伊勢物語』第25段。女の歌。

(p.178)

みるめなき わが身をうらと しらねばや れなで海人あまの 足たゆく来る

逢うこともしない私の身を、無情なものと知らないからかしら、離れもせず疲れた足を引きずって、あなたはたびたびおいでなさることですね

これではわからないだろう。

この歌は、「みるめ」という海草と「見る目」を掛けていて、それが「海人」に掛かっているようだ。その説明がないと意味が分からない。

逢うつもりはない私のこころを知りもせずに、疲れた足を引きずって何度もやってきますね。まるで、海松布みるめが生えない浦だと知らずに絶えず採りにゆく海人のように。(ご苦労なことですね)

のような意味だろう。


[参考]
『竹取物語(全)』角川書店編(角川ソフィア文庫)

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