2019年
240頁
目次(収録作品)
第1章 知覚:時間の流れは錯覚か
第2章 自由:私はいつ決めたのか
第3章 記憶:過去のデッサンを描くには
第4章 自殺:死ぬ権利は、権利なのか
第5章 SF:タイムトラベルは不可能か
第6章 責任:それは、だれかのせいなのか
第7章 因果:過去をどこかに繋ぐには
第8章 不死:死はいつまで続くのか
本書では、「心にとって時間とは何か」がどれだけ未知であるのかを探る。私の専門は哲学だが、哲学だけでなく科学についても、さまざまな知見を参照していこう。だれにも分かっていないことを謎としてうまく描き出すには、それがどのような知識によって囲まれているかを示さなくてはならない。私たちの知識の地図に、未踏の地の「輪郭」を描き込んでいくわけだ。
あとで改めて言い添えるが、私はこの目的のために、章ごとに違うサブテーマを定めた。〈知覚〉、〈自由〉、〈記憶〉、〈自殺〉、〈SF〉、〈責任〉、〈因果〉、〈不死〉という、各章の章題がそれにあたる。つまり、少なくとも八つの謎が本書には描き出されており、それらの不思議さや面白さ、そして、一つの謎から別の謎への道が見えてくる高揚感とが、私なりの言葉で綴られている。
出典:講談社BOOK俱楽部