『ハーンは何に救われたか』(平川祐弘決定版著作集15)平川祐弘(平川祐弘)(勉誠出版)
2017年
527頁
定価:6,000円(税別)
目次(収録作品)
まえがき 日本でハーンは救われずに死んだのか(書き下ろし)
Ⅰ
捨子は何に救われたか―ハーンと母なる海―
『鳥取の布団の話』と『マッチ売りの少女』
Ⅱ
盆踊りの系譜―ハーンからモラエスへ―
手にまつわる怪談―ハーン、ルファニュ、モーパッサン―
大山を描いたハーンと直哉
付録 蘆花の『大海の出日』
物の怪はどこに消えたのか
小泉八雲の怪談の世界
Ⅲ
小泉八雲と永遠の女性
母親のいるふるさと―小泉八雲と萩原朔太郎
幻想空間の東西
日本への回帰か、西洋への回帰か―ハーンの『ある保守主義者』
ハーンについての先達や知友たち
ハーンとさまざまな色の女たち
Ⅳ
ハーンと俳句
ハーンと神道
ハーンにおけるクレオールの意味―ルイジアナ、マルティニーク、日本―
Ⅴ
ハーンにまつわる『初期英文伝記集成』について
英文『小泉八雲書簡集完全版』The Complete Letters of Lafcadio Hearn について
小泉八雲の旧訳全集について
ハーンと女たちの物語 中村和恵
対談 学匠詩人平川祐弘の奇蹟―決定版著作集刊行を期に― 平川祐弘・坂本忠雄
著作集第十五巻に寄せて―香取奴の思い出― (書き下ろし)
著作集第十五巻初出一覧
著者は比較文学研究者。
雑誌等に発表された評論をまとめた一冊。
平明な文章がよい。『捨子は何に救われたか―ハーンと母なる海―』と『著作集第十五巻に寄せて―香取奴の思い出―』中の第4節がよい。あとのものは、まあまあ。
『小泉八雲の旧訳全集について』は、平井呈一の誤訳等を指摘していて参考になった。
「香取奴の思い出」は、著者が若い頃フランスへ留学した際に、知り合った同じくらいの年のフランス人女性を回想した短い文章で、出会いから映画のような快いよい話。
[筆者注]
(p.86)
「柳田[国男]は大正九年、(略)陸中小子内の盆踊りを『浜の一夜』に記述し」(初版)とあるが、これは「浜の月夜」の間違いではないだろうか。