2002年2月5日初版発行
261頁
目次(収録作品)
1 サムライの帝国(書く人の論理―文章読本というジャンル/静かな抗争―定番の文章読本を読む)
2 文章作法の陰謀(正論の迷宮―文章読本の内容/階層を生む装置―文章読本の形式/修行の場―文章読本の読者)
3 作文教育の暴走(形式主義の時代―明治の作文教育/個性化への道―戦前の綴り方教育/豊かさの中で―戦後の作文教育)
4 下々の逆襲(スタイルの変容―文章読本の沿革/様々なる衣装―文章読本の行方)
(筆者が読んだのは単行本)
著者は、元編集者、文芸評論家。
本書は、さまざまな「文章読本」谷崎潤一郎、三島由紀夫、丸谷才一、井上ひさし等々を論評したもの。また、我が国の「作文教育」の歴史もまとめ、それを文章読本に結びつけて論じている。
現代のエッセイストなどによくある軽薄調の書き方と揶揄、揚げ足取りが多いのが、筆者には合わない。(おそらく半ばジョークとして言っているのだろうが。)また、牽強付会的なところもあり好ましくない。
ただ、「文章読本」を一冊も読んでいなくても読め、中々鋭い指摘もあるので、文章に興味がある人は読んでも悪くはない本だろう。
『文章読本さん江』斎藤美奈子(筑摩書房)
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『文章読本さん江』斎藤美奈子(2007・ちくま文庫)
(文庫版は、ネット時代の文章読本について加筆されている)