2002年8月20日初版発行
210頁
著者サキャ・パンディタ(1182‐1251)は13世紀チベットの人。論理学・文法学・韻律学から医学・占星術にいたるまで、百を越える著作があると伝えられる学者であり、強大なモンゴル帝国との折衝に、チベットを代表してあたった熟練の政治家である。その卓越した学識と経験が生んだ、現在も人々に愛誦される辛口の格言457句。
本書表紙(カバー)より
格言集。変に抽象的だったりしなく直截でよい。おもしろい比喩が散見される。相矛盾しているようなものも見られるが、それはそれで興味深い。なかなかおすすめ。
(p.6)
6
賢者は論議し質さないかぎり
その奥深さが分からない。
太鼓はばちで叩かなければ
他の者との違いが分からない。
(p.54)
135
あらゆる状況を考慮せず
敵に襲いかかるのは愚者のしるしである。
灯火の炎に立ち向かう
蛾ははたして英雄だろうか。
(p.77)
165
知識があっても
性格の悪い者は捨てる。
毒蛇の頭に宝石があっても
賢者は蛇を懐に抱くだろうか。