2010年
218頁
目次(収録作品)
序章 なぜ心が哲学の問題になるのか
第一章 心に因果的な力はあるか?
1 心を残す物理主義――デイヴィドソンの立場
2 「スーパーヴィーニエンス」とは何か
3 スーパーヴィーニエンス論法
4 心の働きを物質化する――機能的還元
5 機能的還元の代償
第二章 物理主義を乗り越える1――キムに抗して
1 〈閉包性〉という障壁
2 機能はうまく還元できるのか
第三章 物理主義を乗り越える2――「性質」としての心
1 性質の因果性
2 性質のあり方――タイプとトークン
3 個別的なものとしての「性質」――トロープによる心の因果性
4 立ちふさがる「“として”問題」
5 マクドナルドらの提案
6 形而上学的アプローチの限界
第四章 心的な説明は因果的か?
1 行為の「理由」と「原因」
2 行為の理由は行為の原因である――デイヴィドソンの「因果説」
3 説明に因果性は必要でない――「包括的合理化」による因果説批判
4 それでも因果性が求められる理由
5 論争を振り返って――これからの方針
第五章 心的説明から心的因果を目指す
1 バージとベーカーの「説明実践アプローチ」
2 スーパーヴィーニエンスは心的因果の助けにならない
3 説明と形而上学の対立
4 説明実践を擁護する
第六章 説明からの試み
1 心的因果の「理論化」
2 (今さらながら)「因果性」について
3 心的因果が根付く「理論」
4 日常心理学と科学
5 理論化の応用
6 心的因果は理論化できるか――反論に答える
おわりに――行き着く先とこれからの展望
世界に存在するあらゆるものは物質的な存在にすぎないとする「物理主義」。この考えは私たちの日常にも浸透しているが、「心」をこのモノの世界に位置づけようとした途端に、難題が生じる。非物質的な心が、どうやって物質的な身体に因果的な力を及ぼすことができるのか? 心身問題という難題を通して、哲学することの愉しみへ誘う。
出典:勁草書房公式サイト