2006年
396頁
目次(収録作品)
まえがき――公共性の危うさと困難さ
第I部 公共性とは何か――多元的世界における公共性概念の再定位
第1章 公共性とは何か(井上達夫)
1 何の公共性か 2 公共性概念における理由の基底性 3 公共的理由の規範的構造
第2章 公共性のテスト 普遍化可能性から公開可能性へ(瀧川裕英)
1 普遍的法則 2 正義の普遍主義的要請 3 応答責任
第3章 討議は何故必要か? 公共性と解釈的実践(大屋雄裕)
1 傾向性としての公共性 2 先取りとしての公共的討議 3 自発的公共性の可能性と限界 4 普遍性創造としての解釈
第4章 公共性の成長論的再編(橋本努)
1 はじめに 2 公共性の修辞学 3 「残基」としての公共性 4 成長論の四つの伝統
第5章 市場平和と市場の公共性(桂木隆夫)
1 はじめに 2 合意形成 3 貧富の差について
第6章 多文化社会と文化の公共性 文化政策学と多文化主義のアプローチ(石山文彦)
1 文化政策学と「文化」 2 多文化主義と「文化」 3 文化に関する新たな公共性問題 4 結語
【コラム】公共性を巡る対話(安藤馨・浦山聖子)
第II部 法の公共性――法概念論と法実践論の転換
第7章 公共性の母体と革命的法創造(田島正樹)
1 ギリシアの神々 2 民衆法廷 3 決断する主権者 4 革命的法創造 5 戦争法廷 6 愛国心と左翼
第8章 立法過程における党派性と公共性(谷口功一)
1 問題が正しく説明されさえすれば、2 「哲学者」と「立法者」の対話 3 「問題」の解析 4 終節
第9章 民主的公共性における世論・運動・制度の役割(神江沙蘭)
1 序 2 民主的公共性の原理的基礎 3 議会・選挙制度の規範的意義 4 民主的公共性と制度設計 5 結び
第10章 法の限界問題と法の公共性 ミルとフンボルトの議論を素材として(吉永圭)
1 フンボルトの見解 2 ミルの見解 3 両者の議論の検討 4 「正としての人間観」 5 「正としての人間観」の課題
第11章 悪法問題と法の公共性(横濱竜也)
1 法による理由の調整――ラズの置換理由論 2 権力を制約する法――シャピロ・キャンベルのルールによる統治 3 ドゥオーキンの誠実性論 4 ソーパーの正義要求論
【コラム】虜囚から大統領への手紙 国際社会における公共性をめぐって(郭舜)
第III部 法における公共性――法価値論の脱構築と再構築
第12章 <性>の公共性 法における社会改革の位置づけ(池田弘乃)
1 はじめに 2 フェミニズムと「立法問題」 3 the personal is political 4 おわりに――法の位置
第13章 教育・子育ての私事性と公共性 権利概念の関係論的再編(大江洋)
1 リベラルな国家と教育・子育て 2 親の教育・子育て権(権限) 3 子どもの権利 4 教育・子育てと公共性
第14章 シティズンシップ概念の再編と公共性 外国人の参政権問題を手掛かりに(稲田恭明)
1 問題の所在 2 国民主権論と外国人の参政権 3 国民国家型シティズンシップの形成と動揺 4 シティズンシップ概念の再編
第15章 自然環境問題における公共性(松本充郎)
1 はじめに――本稿が対象とする問題と本稿の射程 2 理論的争点 3 自説の構成――ハーディンとオストロムの議論を踏まえて 4 結びに代えて
第16章 死の公共性と自己決定権の限界(奥田純一郎)
1 はじめに 2 死は私事か?――失われる事で初めてわかる「私」=「自己」の構造:自己決定権の外在的検討 3 批判への応答――「自己」の構造と死の問題のより深い理解のために 4 結びにかえて
【コラム】世代間正義と公共性 なぜ将来世代を思い煩わなければならないのか(吉良貴之)
あとがき
公共性とは何か? 大好評、忽ち重版!
巷に溢れる公共性言説の危うさと困難さを問い、多元的社会における公共性概念の再定位に挑む刺激的論集。
出典:ナカニシヤ出版公式サイト