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『貝になった男―直江津捕虜収容所事件』上坂冬子(文藝春秋 )

『貝になった男―直江津捕虜収容所事件』上坂冬子(文藝春秋)

1986年8月15日第1刷発行
196頁




目次(収録作品)

プロローグ/足をもがれた少女/遺族たち/最後の民謡/河原の枯れすすき/チリ紙のてるてる坊主/35年目の便り/戦犯裁判/証言台にて/捕虜をかばった人/所長の記録/戦争後遺症/オーストラリアの捕虜たち/軍事郵便のプロポーズ/貝になった男

本書は、新潟県の捕虜収容所の警備員8名がオーストリア人捕虜を虐待し死なせたという理由でBC級戦犯とされ、死刑に処された事件を取材したもの。
警備員たちの遺族や当時のオーストリア人捕虜にも取材している。平明に書かれいて読みやすい。東京裁判のずさんさと戦争の傷痕を知ることができるなかなかの良書。おすすめ。

(単行本p.89)
 フェザーストン代表弁護人は、多くの戦犯事件を担当したベテランであった。彼は証人たちの述べた内容を総合して、虐待があったのは否定できないが、捕虜殴打―脚気―死亡、この三者の必然性がうすいとし
「戦争犯罪が裁かれる時には妙な傾向があらわれるもので、煙草二箱が原因で死刑ということもある。人を侮辱したといって死刑を求刑できることになりかねないとしたら、この世に法理論も人間の尊厳もなくなってしまう。我々はこの法廷をそういうものにしたくない」
と冒頭弁論を締め括った。
 もし、この弁論が重視され、何時、誰が、誰に対して、どのような殺人行為を行ったかを徹底的に明らかにしていく方針がたてられていたなら、八人もの人が絞首刑に処されることはなかったかも知れない。


[関連]
『貝になった男―直江津捕虜収容所事件』上坂冬子(1089・文春文庫)

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