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『日本人の自伝15 二葉亭四迷・菊池寛・長谷川伸・吉川英治』(平凡社)

『日本人の自伝15 二葉亭四迷・菊池寛・長谷川伸・吉川英治』(平凡社)(全23巻・別巻2巻)

1980年
543頁




目次(収録作品)

『予が半生の懺悔』二葉亭四迷
『半自叙伝』菊池寛
『ある市井の徒』長谷川伸
『忘れ残りの記』吉川英治

二葉亭四迷は、日本の言文一致運動のさきがけとなった長編小説『浮雲』を発表し、翌年には、ロシアの文豪・ツルゲーネフの『あひびき』『めぐりあひ』等の翻訳を発表して、一躍脚光を浴びた小説家。江戸市ヶ谷の尾張藩上屋敷で生まれた。《予が半生の懺悔》は談話筆記として発表された短編で、著者の思想変遷のスケッチである。『浮雲』の背景をはじめ、小説家・二葉亭四迷のさまざまな面を知るための貴重な資料である。

菊池寛は『文藝春秋』を創刊し、芥川賞・直木賞を創設したことで有名な小説家。香川県出身。《半自叙伝》は、1928年5月から1929年12月まで『文藝春秋』に連載され、1947年5月と6月に発表された続稿をまとめたもの。あくまで淡々とそっけなく、他人事のような客観性を貫いた筆致でありながら、行間に浮かび上がる著者自身の心境が伝わってくるあたりは、さすが練達の小説家である。

長谷川伸は、横浜出身の大衆小説家・劇作家。幼い頃に母と生き別れになり、家業不振のため少年時代から土方等さまざまな仕事を経験。1922年に発表した『天正殺人鬼』が菊池寛に認められ、以後、次々と話題作を発表する。後進の育成にも尽力し、主宰した勉強会には、池波正太郎や西村京太郎らがいた。《ある市井の徒》は、生き別れた母への思慕の念に貫かれており、また、著者が出会ってきた請負師や遊女たちとのエピソードが生き生きと描かれている。

吉川英治は、『宮本武蔵』『三国志』『新・平家物語』などを著し、大衆小説・時代小説の第一人者として長く活躍した小説家である。神奈川県に生まれ、父の事業失敗のため高等小学校を中退し、以後貧苦の中で各種の職を転々とすることとなった。《忘れ残りの記》は、著者が小説家として本格的にデビューする前、両親を相次いで亡くした30歳までの回想である。貧苦の中で打ちのめされそうになりながらも、懸命に生きる姿が描かれている。

eBookJapan 商品説明より


[関連]
『作家の自伝1 二葉亭四迷』畑有三編(日本図書センター)

『半自叙伝・無名作家の日記 他四篇』菊池寛(岩波文庫)

『ある市井の徒』長谷川伸(中公文庫)

『忘れ残りの記』吉川英治(吉川英治歴史時代文庫)

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