『日本人の自伝20 七世市川中車・初世中村鴈治郎・二世市川左団次』(平凡社)(全23巻・別巻2巻)
1981年
447頁
目次(収録作品)
『中車芸話』市川中車
『鴈治郎自伝』中村鴈治郎
『左団次自伝』市川左団次
歌舞伎役者・七世市川中車は、梨園の生まれではない。京都の侠客だった父と、気の進まない婚礼の前夜に親が決めた夫を置いて、一目惚れした父のもとへ家出した母との間に生まれた。芝居好きの母の影響で子供芝居を始め、上京後に九世市川団十郎に入門。いわゆる団・菊の全盛期にその薫陶を受け、名優の一人になった。《中車芸話》は、著者の破天荒なエピソードとともに、芸談や名優にまつわる話も多く、読む者を飽きさせない内容になっている。
初世中村鴈治郎は大阪に生まれ、明治中期以降、大変な人気を誇った歌舞伎役者。その死に際しては号外が出るほどであった。後の三世中村翫雀と妓楼の娘との間に生まれた著者は、両親の離婚や生家の没落などの苦労の末、歌舞伎役者の修行を始め、頭角を現していく。《鴈治郎自伝》は、生家の没落や心中未遂、父子対面、子の夭折など、波瀾万丈の著者の人生が淡々とした筆致で描かれており、芸一筋で生きた人ならではの味わいが感じられる自伝である。
歌舞伎役者・二世市川左団次は、初世左団次の子として東京に生まれ、3歳で初舞台を踏んだ。二世左団次襲名披露興行を大成功させ、その収益をもとに欧米視察を敢行。その後、歌舞伎役者の枠を超え、作家の小山内薫とともに演劇革新運動を実施。また、初の海外歌舞伎公演を当時のソ連で行った。《左団次自伝》には、出生より1932年にイタリア・フランス政府からの叙勲までの、決して平たんではない著者の役者人生が語られている。eBookJapan 商品説明より
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