『竹山道雄セレクション 3美の旅人』竹山道雄、平川祐弘編(藤原書店)全4巻
2017年
592頁
目次(収録作品)
第Ⅲ巻序 平川祐弘
第Ⅰ部 若き日の旅人
スペインの贋金/希臘にて/北京日記
第Ⅱ部 竹山道雄の文化遍歴
蓮池のほとりにて/フランス滞在/たそがれのパリ女たち/若いゲーテの転向/
私の文化遍歴/ソウルを訪れて/高野山にて/四国にて/西の果ての島/
鎌倉礼讃/タイレのこと
第Ⅲ部 美を感じて考えて語る
暗示芸術――日本の美感1/構成芸術――日本の美感2/六波羅蜜寺/
海北友松/賀茂神社の方へ/神魂神社
第Ⅳ部 歴史を見る眼
日本文化の位置
〈解説〉竹山道雄先生、その人となりと文章 芳賀徹
〈竹山道雄を読む〉贋金の裏から真理が現れる 稲賀繁美
〈附〉年譜/主要著作一覧/人名索引
竹山は彼が生きていた時期の日本でもっとも西欧文化に通じていた日本人の一人に相違ないが、日本文化の位置を論じても、その比較文化史的な視点は驚くほど新鮮でさわやかで、その美を伝えることの名手であった。
「美の旅人」竹山は、日本にいても西洋にいても南アジアにいても、旅の達人であった。そして美しいものを見わける術を心得ていたのみか、それを珠玉の文章に綴る感受性をもちあわせた。知らないことを見ながら書きながら考えてゆく。
未知の水平線へと歩いて行く。
交通手段の発達によりスペインへ行くのもギリシャへ旅するのもいとも簡単・安直になった昨今だが、はたして誰が竹山のような旅をよくなし得るであろうか。
また同じく大和島根の国に暮らしながら、神道の美をこれほどあざやかに見据えた人がどれだけいたであろうか。
(第Ⅲ巻序より)出典:藤原書店公式サイト