『歌うネアンデルタール―音楽と言語から見るヒトの進化』スティーヴン・ミズン、熊谷淳子訳(早川書房)
2006年
492頁
定価:2,640円(税込)
目次(収録作品)
音楽の謎―音楽進化史の必要性
第1部 現在(チーズケーキ以上?-音楽と言語の類似点と相違点/言語なき音楽―大脳、失語症、音楽サヴァン/音楽なき言語―後天性・先天性の失音楽/音楽と言語のモジュール性―脳内における音楽処理/乳幼児への話しかけ、歌いかけ―脳の成熟、言語学習、絶対音感 ほか)
第2部 過去(うなり声、咆哮、身振り―サル、類人猿のコミュニケーション/サバンナに響く歌―「Hmmmm」コミュニケーションの起源/リズムに乗る―二足歩行と踊りの進化/模倣する性質―自然界についてのコミュニケーション/セックスのための歌―音楽は性選択の産物か ほか)
われわれの生活に欠かすことのできない音楽。この音楽は、いつごろ、どのようにして人類の歴史に誕生したのだろう。音楽は進化の過程でことばの副産物として誕生したというのが、これまでの主要な意見であった。しかし、ミズンは、初期人類はむしろ音楽様の会話をしていたはずだとし、彼らのコミュニケーションを全体的、多様式的、操作的、音楽的、ミメシス的な「Hmmmmm」と名づけた。絶滅した人類、ネアンデルタールはじゅうぶんに発達した咽頭と大きな脳容量をもち、この「Hmmmmm」を使うのにふさわしい進化を遂げていた。20万年前の地球は、狩りをし、異性を口説き、子どもをあやす彼らの歌声に満ちていたことだろう。一方、ホモ・サピエンスではより明確に意思疎通するために言語が発達し、音楽は感情表現の手段として熟成されてきたものと考えられる。認知考古学の第一人者として、人類の心の進化を追究しつづけるスティーヴン・ミズンが、太古の地球に響きわたる歌声を再現する。
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