『「わだつみ」現場の証言 或る傍観者の記録』鷲見豊三郎(東京新聞出版局)
2015年
224頁
目次(収録作品)
重禁錮10年 俺のどこが悪かったんだ
突然の起訴 現地人を殺害せり
戦争犯罪 いったいこんなことが
二つの飛行場 1機減り、2機減り…
艦砲射撃 多い。随分多い
民政委員会 猫の手も借りたい
参謀との対立「原始人に米などやらぬ」
全村立ち退き 誰が現地人を食わせるのか
軍医参謀 あまりにも常識外れな
生ける標的を守れ 軍と住民の間〔ほか〕
陸軍大尉だった鷲見豊三郎は、戦時中、日本軍占領下インド洋の小島カーニコバル島で海軍指揮下の民政部に所属。『きけ わだつみのこえ』の木村久夫の上官にあたり、木村が余白に遺書を書いた『哲学通論』は鷲見が譲ったのものだった。島民が英軍と通じたという「スパイ事件」での島民処刑をめぐって身に覚えのない罪で戦犯に問われた鷲見は、懲役十年の判決を受けた。島で何があったのか。終戦後間もなく行われた裁判は公正だったのか。島民と親しく接した鷲見がなぜ戦犯となったのか。当事者でもあり傍観者でもあった鷲見の目から見た戦争犯罪の真実は、「いかに人として生きるか」を問い続けた、ひとりの将校の思索の軌跡でもある。
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