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『愉しみながら死んでいく』ニール・ポストマン(三一書房)

『愉しみながら死んでいく―思考停止をもたらすテレビの恐怖』ニール・ポストマン、今井幹晴訳(三一書房)

2015年
319頁




目次(収録作品)

第1部
第1章  情報媒体は譬えである
第2章  認識機能としての情報媒体
第3章  活字印刷の国アメリカ
第4章  活版印刷の精神
第5章  いない、いない、バアの世界

第2部
第6章  ショービジネスの時代
第7章  「さて……次に」
第8章  ショー・ビジネスとしての宗教
第9章  手を伸ばそう、誰かを選ぼう
第10章  愉しい教育?
第11章  ハクスリーの警告

「では……次に……」
深刻なニュースも、ゴシップネタも同列に「愉しい」ものにしてしまうTV。
視聴者から思考する力をうばうTVプログラム!?
N・ポストマンの代表作であり、世界各国で翻訳され現在も売れ続けているロングセラー、待望の邦訳出版!

わたしたちは1984年に注目してきた。その年が来ても、予言は実現しなかったので、思案していたアメリカ人は自分たちをたたえた。自由民主主義の根は伸びなくなっていた。脅威が存在していた場所には、オーウェルの描いた悪夢は訪れていなかった。

しかし、オーウェルの暗い予言とならんで、わずかに年代が古く、わずかに知名度が低いが、同じように恐ろしい別の予言があった。ハクスリーの『すばらしい新世界』。

オーウェルは外部からの抑圧によって支配されることを予言した。だがハクスリーの予言には、人間の自立や成長や歴史を奪うビッグ・ブラザーはいない。その予言によると、人間は抑圧を愛するようになり、人間の考える能力を取り戻させることのない科学技術をあがめるようになる。

『一九八四年』に登場する人間は苦しみによって制御されているが、『すばらしい新世界』に登場する人間は愉しみによって制御されている。オーウェルはわたしたちが嫌いなものがわたしたちを破棄することを恐れた。ハクスリーはわたしたちが好きなものがわたしたちを破棄することを恐れた。

本書は、オーウェルではなく、ハクスリーが正しかった可能性についての本である。(ニール・ポストマン)

出典:三一書房公式サイト

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