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『フリードリヒ・フォン・ハイエクのウィーン―ネオ・リベラリズムの構想とその時代』森元孝(新評論)

『フリードリヒ・フォン・ハイエクのウィーン―ネオ・リベラリズムの構想とその時代』森元孝(新評論)

2006年
255頁




目次(収録作品)

問題 ハイエク対ハイエク
第1章 鎖につながれた鷲
第2章 正統か異端か
第3章 反合理主義の道
第4章 秩序の自生
第5章 進化する自由主義
第6章 望郷と憂鬱
第7章 貨幣発行自由主義の論法
終章 自由主義対自由主義

 湾岸戦争「勝利」の熱気がまだ冷めやらぬ1991年11月25日、アメリカ大統領ジョージ・ブッシュ(父)は、ウィーン生まれの経済学者で1974年のノーベル経済学賞受賞者フリードリヒ・フォン・ハイエクに大統領自由勲章を授けた。アメリカ大統領が文民に与える最高の栄誉とされるこの勲章、当時ドイツにいた1899年生まれのハイエクは病気と高齢を理由にワシントンでの授賞式には出席しなかったが、「私はいつもアメリカ合衆国の賛美者でした。永年にわたって、世界が貴国から学ぶことができると考えられることを、残りの世界に吹き込んできました」という答辞が伝えられている。亡くなる半年前のことである。
 ハイエクは「マルクス主義を殺した哲人」、「サッチャー、レーガン革命を導いた〈繁栄〉のバイブル」の著者として紹介もされ、競争万能主義社会を主唱するネオ・リベラルの元祖とも見られる。とくに「主著」とされる『隷従への道』は、よく知られた書であるが、果たしてこの本が、ハイエクその人を最もよく表現しているのか。本当はもっと違っていたのではないのか。彼の頑な批判主義はよく知られるところであるが、もっと違った理論的な貢献を、膨大な仕事の中に見出すことはできないのか。
 レーガン、ブッシュ政権を支えてきたマネタリストとは異なり、貨幣発行自由化論という奇想天外な提案により、自由主義実践の本質論も掲げている。本書は、そんな動機から、いわば「ハイエク 対 ハイエク」という関心で、未公刊資料も渉猟して、ハイエクを読み返そうというものである。

出典:新評論公式サイト

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