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『三島由紀夫事件 50年目の証言』西法太郎(新潮社)

『三島由紀夫事件 50年目の証言』西法太郎(新潮社)

2020年9月20日初版発行
301頁




目次(収録作品)

第1章 「楯の会」に籠められたもの
三島由紀夫と昭和の時代
祖国防衛隊としての楯の会
警察と自衛隊
警察との唯一の絆―佐々淳行(1)

第2章 「市ヶ谷」に果てたもの
惨劇の刻
カメラは見ていたー佐々淳行(2)
”変言自在”の人―中曾根康弘
益田兼利東部方面総監の法廷証言
”憂国三銃士”の上申書
森田必勝の夢

第3章 「三島事件」に秘められたもの
謎の人ーNHK記者伊達宗克
益田総監の死
漢詩の網のなかで―佐々淳行(3)
秘かに蠢いた国家意思
second languageとしての肉体
身滅びて魂存する者あり

参考資料1 自衛隊市ヶ谷駐屯地バルコニーからの演説
参考資料2 「三島事件」判決主文と理由(全文)

著者は、元総合商社社員。文芸評論家。

本書は、「三島事件」についての評論で、当事者の裁判証言や著者の関係者への取材をまじえて論じている。
三島の友人であるが、事件についてはほとんど語っていない佐々淳行のインタビュー及び(おそらく初出の)参考資料2の「三島事件」判決主文と理由(全文)が、貴重。

著者は、本書で警察(上層部)は「事件」を中身まで正確に把握していたが、あえて「静観」したのだろうと主張している。警察にとって自衛隊の力が強くなるのは、不都合だから国軍化を唱える三島たちのクーデターを敢えて見過ごしたというわけである(クーデターが失敗に終わることも見越していた)。興味深い説だが、本書ではその「証拠」は示されていない。

筆者には、関係者の法廷証言と楯の会隊員の小川正洋・小賀正義・古賀浩靖らの考えや問題認識が興味深かった。

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