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『精選女性随筆集』(文藝春秋)第5巻~第8巻

『精選女性随筆集 第5巻 武田百合子』武田百合子、川上弘美選(文藝春秋)(シリーズ全12巻)

2012年
269頁




目次(収録作品)

『富士日記』より(昭和三十九年/昭和四十年 ほか)
『ことばの食卓』より(枇杷/牛乳 ほか)
『遊覧日記』より(浅草蚤の市/上野東照宮 ほか)
『日日雑記』より/単行本未収録エッセイ(椎名さんのこと/富士山麓の夏)

女性作家の名随筆アンソロジー第五巻。
この巻では川上弘美氏が敬愛する書き手・武田百合子の日記、随筆から厳選。作家・武田泰淳との富士山麓別荘での十年余にわたる生活を綴り、泰淳の死後発表されその研ぎ澄まされた言語感覚に世間が驚愕した『富士日記』からの抜粋と、掌編小説のような逸品が並ぶ『ことばの食卓』から数篇、娘・武田花と遊ぶ日々が綴られた『遊覧日記』『日日雑記』からも数章。夫亡きあとの文章からは「哀しみ」が行間から漂い、自然に泣けてくる名文が続きます。
選者による巻頭エッセイと、研究者による解説、略年譜付き。

出典:文藝春秋BOOKS



『精選女性随筆集 第6巻 宇野千代・大庭みな子』宇野千代・大庭みな子、小池真理子選(文藝春秋)(シリーズ全12巻)

2012年
267頁




宇野千代(生い立ち/敬し、愛した男たち/小説を書くということ/私の人生論)
大庭みな子(結婚は解放だった/生命を育てる/文学・芸術・創作/作家の肖像/少女時代の回想)

小池真理子氏と川上弘美氏を選者に迎えた、女性作家の名随筆アンソロジー第六巻。第五巻と同日発売。
われわれが持つ「宇野千代」のイメージは「私何だか死なないような気がするんですよ」と色紙に書く、晩年の不死身な様子であるが、実は、同時代の大文学者・谷崎潤一郎や小林秀雄をこよなく尊敬し、生涯小説修業に励んだ一途な作家であった。尾崎士郎、東郷青児、北原武夫らとの情熱的な恋愛も見逃せないし、戦後売れに売れた「スタイル」編集長としての顔もある。この一冊で「宇野千代」の軌跡を辿ることができる。
初の芥川賞女性選考委員(1987~1997年)・大庭みな子は詩情あふれる文章で、生き生きとした女と男の関係の回復を訴え続けた。その原始的ともいえる性の讃歌は、原爆投下後の広島で、死体を運び出す役割をした女学生の頃の、人間と世界に対する絶望から始まっていた。選者による巻頭エッセイと、研究者による解説、略年譜付き。

出典:文藝春秋BOOKS



『精選女性随筆集 第7巻 白洲正子』白洲正子、小池真理子選(文藝春秋)(シリーズ全12巻)

2012年
267頁




第1章 知人・友人(一つの存在/ある日の梅原さん/『いまなぜ青山二郎なのか』/小林秀雄/正宗白鳥/青山二郎)
第2章 日常なるもの(銀座に生き銀座に死す/冬のおとずれ/老木の花/浮気について/幸福について/晩年の祖父/私の墓巡礼/死/ツキヨミの思想)
第3章 お能(お能の見かた/能面の表情/お能を知ること/舞う心/お能の幽玄/面について)
第4章 古びぬものたち(信玄のひょうたん/明恵上人のこと/無言の言葉/西行のゆくえ/坂のある風景/古寺を訪ねる心―はしがきにかえて/極楽いぶかしくは)

好評の女性随筆集、いよいよ後半分の刊行開始(第四回配本)。
紀行、骨董、民芸、着物、古典、能などに関する膨大な文章を残した白洲正子の作品から各分野ごとに厳選。「第一章 知人・友人」では小林秀雄、青山二郎など師とも仰いだ男たちのことを書いた文章を収録。ことに「正宗白鳥」は、文人にとって生活というものは何か、をまざまざと見せてくれる一篇である。「第二章 日常なるもの」には祖父の追憶や懇意にしていた女友達を悼む文章など、どちらかといえば私的な面がのぞける作品を集めた。白洲正子の感性、思考の核心を成していたのは「能」の素養だが、「第三章 お能」は能の鑑賞入門にもなっている。「第四章 古びぬものたち」は、明恵上人や西行、古寺巡礼に関する文章で構成。本書は、絶好の「白洲正子入門」であり、最良の「白洲正子決定版」である。

出典:文藝春秋BOOKS



『精選女性随筆集 第8巻 石井桃子・高峰秀子』石井桃子・高峰秀子、川上弘美選(文藝春秋)(シリーズ全12巻)

2012年
269頁




石井桃子(『幼ものがたり』より/戦争ちゅうと戦後)
高峰秀子(『わたしの渡世日記』より/ちょっといい話)

近現代の女性作家(物故者に限る)の手になる名随筆のアンソロジー、いよいよ後半分の刊行開始(第四回配本)。
石井桃子は自伝「幼ものがたり」から祖父母、兄や姉、季節の遊びの思い出などを綴った部分を採録。また太宰治から好感を持たれた話、井伏鱒二に「ドリトル先生」の翻訳を依頼した話など、意外なエピソードもいくつか収録。文藝春秋、新潮社、岩波書店の編集者であり、「クマのプーさん」「ちいさいおうち」などの翻訳者でもある石井の文章をたどることは、日本出版史の一面を知ることでもある。
高峰秀子も自伝「わたしの渡世日記」からの抜粋を中心に構成する。「蝶よ花よ」と持て囃されている子役のイメージとは全く異なり、持ち前の怜悧さで自分をも他人をも突き放したまなざしで見ている職業人(プロ)・高峰秀子。ほかに、梅原龍三郎の思い出、毛皮のコートを縫ってくれたお針子さんへの想いをめぐらせた文章なども採録。

出典:文藝春秋BOOKS

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