『China 2049―秘密裏に遂行される「世界覇権100年戦略」』マイケル・ピルズベリー、野中香方子訳、 森本敏 解説(日経BP)
2015年
440頁
目次(収録作品)
序章 希望的観測
第1章 中国の夢
第2章 争う国々
第3章 アプローチしたのは中国
第4章 ミスター・ホワイトとミズ・グリーン
第5章 アメリカという巨大な悪魔
第6章 中国のメッセージポリス
第7章 殺手鐗(シャショウジィエン)
第8章 資本主義者の欺瞞
第9章 2049年の中国の世界秩序
第10章 威嚇射撃
第11章 戦国としてのアメリカ
解説 ピルズベリー博士の警告を日本はどう受け止めるべきか
──森本敏(拓殖大学特任教授・元防衛大臣)
今後50年、100年の国際政治においては、米国が覇権を保ち続けるとも、中国やインドが台頭するとも言われている。しかし、中国はそんな風には考えていない。すなわち、100年越しの「中国主導の世界秩序」回復を狙っているのだ。その時期は2049年、共産党100周年記念の年であり、そのためのプランは着実に実行されてきたという。
本書は、そんな中国の驚愕の国家戦略「100年マラソン」計画を明らかにし、あらゆる角度から検証した一冊だ。著者は米政府で長く対中国防衛政策を担当し、現在も国防省顧問、ハドソン研究所中国戦略センター所長を務める中国研究の第一人者。刊行にあたっては、CIA、FBI、国防長官府、国防総省の査読も受けたといういわく付きの内容である。
中国指導者層は『資治通鑑』など古典から学び、数世代にも及ぶ長期戦略を実行に移してきたが、その戦略においては、野心を隠し敵を欺くことが最も重要とされたという。その野心に気付かず様々な対中支援を行ってきたアメリカは、著者を含め、これまで見事に騙されていたのである。
こうした中国の戦略は、防衛戦略はもちろん、対中ビジネスにも大きな影響を与えるむしろ、政治経済が一体化しているのが中国の強みであり、本書ではそうした国有企業や市場の実態にも迫っている。また、領海をめぐる近年の日中間の緊張や日米関係についても言及が多く、全ての日本のビジネスパーソン必読の一冊といえるだろう。
出典:BOOK-SMART
原題『THE HUNDRED-YEAR MARATHON』