『鏡の背面―人間的認識の自然誌的考察』コンラート・ローレンツ、谷口茂訳(筑摩書房)
2017年
497頁
目次(収録作品)
認識論的前置き
認識過程としての生命
新たなシステム特性の生成
現実的存在の諸層
短期の情報獲得の諸過程
行動のテレオノミー的変異(報酬による学習=強化による条件づけは除く)
成功の応答と、報酬による訓練(強化による条件づけ)
概念的思考の基礎
人間の精神
生きたシステムとしての文化〔ほか〕
鏡は現実の世界を映し出す。ローレンツは、ヒトの心も現実の事象を映し取り認識するものとして鏡になぞらえ、すべての鏡に物理的実体として裏側・背面が存在するようにヒトの心にも背面があるとし、その背面である認識システムに目を向ける。人間の行動の基礎となる五官から中枢神経系までを含めた人間の全認識装置とその機能を、アメーバーやゾウリムシの行動を始めとして、最終的には人間の社会的営みにまで至る“生きたシステム”全域における解明を試みる。ノーベル医学生理学賞を受賞した20世紀を代表する知性による、総合人間哲学を目指したきわめて野心的な試み。
出典:筑摩書房公式サイト