『サブリミナル・マインド―潜在的人間観のゆくえ』下條信輔(中公新書)
1996年
303頁
目次(収録作品)
序 私の中の見知らぬ私―講義に先立って
第1講 自分はもうひとりの他人である―自己と他者の社会認知心理学
第2講 悲しいのはどうしてか?―情動と帰属理論
第3講 もうひとりの私―分割脳と「自己」
第4講 否認する患者たち―脳損傷の症例から
第5講 忘れたが覚えている―記憶障害と潜在記憶
第6講 見えないのに見えている―いき下知覚と前注意過程
第7講 操られる「好み」と「自由」―サブリミナル・コマーシャリズム
第8講 無自覚の「意志」―運動制御の生理学と哲学
第9講 私の中の悪魔―自由意志と「罪」をめぐって
著者は認知心理学者。
本書は、東京大学ほかで行った講義を元に書籍としてまとめたもの。認知心理学等の理論や実験を豊富に解説して論じている。文章は難解ではないが、内容は専門的なので、そこがすこし難しいかも知れない。(ひとつアドバイスをすると、本書で論じている多くのことは「サブリミナル」つまり、少しも・全然・ちらっとも意識していない「潜在意識」でのことである。これをきちんと踏まえていれば、しっかり内容が理解できるはず。)
内容の濃い読みごたえのあるおすすめの一書。
解説されている実験等も興味深く、また、人がいかに意識していない事柄に影響を受けているかを考えさせられ学ぶところが多い。