『かぐや姫と浦島―物語文学の誕生と神仙ワールド』渡辺秀夫(塙選書)
2018年4月25日初版発行
289頁
目次(収録作品)
序章 本書のアプローチ・方法論にかえて
第一章 神仙ワールドの「竹」
第二章 『竹取物語』の作者層と神仙ワールド
第三章 神仙小説からみる仙界の諸相―天上界のしくみ
第四章 方術の描かれる物語―『竹取物語』の場面描写
第五章 かぐや姫の罪―仙女の降誕と帰還の論理
第六章 かぐや姫の昇天と不死薬―仙薬の諸相
第七章 「謫仙譚」のプロット構成とかぐや姫
第八章 「仙境訪問譚」のプロット構成と浦島
第九章 『続浦島子伝記』―平安朝の伝奇小説
終章 かぐや姫と浦島―物語文学と伝奇のあいだ
著者は国文学者。
『竹取物語』と浦島伝説が書かれた当時の前提の知識である中国の神仙文学について主に論じた本。
興味深い所もあったが、全体的にはいまいち。『竹取』と『浦島』の関連を深く考察しているのを期待して手に取ったが、その点はあまりない。
また、『浦島』は、ほぼ『続浦島子伝記』に限って論じている。
本書を読むには前提知識として『竹取物語』を読んでおいた方がよい。
[筆者注]
『須弥山と極楽』[amazon]定方晟(講談社学術文庫・一九七三年)(p.285)とあるが、「講談社現代新書」の間違い。