『事実/価値二分法の崩壊』ヒラリー・パトナム、藤田晋吾・中村正利訳(法政大学出版局)
新装版2011年
254頁
目次(収録作品)
第I部 事実/価値二分法の崩壊
第一章 経験主義的背景
区別は二分法ではない:分析的と総合的
事実/価値二分法の歴史
二分法の「事実」の側
論理実証的言語観の貧困
第二章 事実と価値の絡み合い
認識的価値も価値である
認識的価値と倫理的価値の違い(なぜその違いの重要性が誤解されてはならないか)
「濃い」倫理的概念
われわれはなぜ事実/価値二分法に誘われるのか
次回に……
第三章 アマルティア・センの世界における事実と価値
セン、アダム・スミス、「第二局面」の古典派経済学
倫理学と経済学
潜在能力アプローチ
結論:絡み合い再論
第II部 合理性と価値
第四章 センの「命令主義的」出発点
価値判断は命令を含意するか?
「副次的に評価的な名辞」
倫理的議論における理由
第五章 選好の合理性について
合理的選好の理論
自律を顧慮することは本当に合理的か
理由を欲するのは合理的か
内部理由と外部理由
結論
第六章 価値はつくられるのか発見されるのか
価値評価についてのデューイの見解
ローティとデューイ
デューイの価値理論に対する還元主義的反論
真理と保証された主張可能性
要約
第七章 価値と規範
ハーバーマスの立場の簡潔な記述
「規範/価値」二分法には問題がある
バーナード・ウィリアムズの抜け道
「討議倫理学」はこの問題をかわしているか
アーペルとパースは間違った真理論を奉じている
倫理的真理についてのアーペルの説明とその難点
それにしても、なぜ人びとは価値を相対化ないし「自然化」したがるのか
結論
第八章 科学哲学者たちの価値からの逃避
結論
大衆文化や哲学思想・社会科学などにおいて、歴史的にさまざまな形で展開され擁護されてきた「事実/価値二分法」に対して論争を挑むパトナム哲学の批判的考察。その「事実認識は客観的でありうるが、価値判断は主観的である」という根底的思想をD.ヒュームに始まりカント、デューイ、A.セン、ハーバーマスらを検証して斬新かつ独創的反論を提示し、問題の把握と理解に導く。
出典:法政大学出版局公式サイト
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