2010年
301頁
目次(収録作品)
序章 思想は国際政治とどうかかわるか
はじめに
1 戦後の国際政治思想論
2 思想と現実の間柄について
3 問題領域の拡張
第1章 国家理性論の系譜としての現実主義
はじめに
1 マイネッケ以後の国家理性研究
2 マキアヴェリと状況理性
3 国家理性と利益概念──ボテロとリシュリューの場合
4 国家理性の道義化──条約破棄の論理として
おわりに
第2章 ユートピアの現実性──カント主義の展開とヨーロッパの平和実践
はじめに──平和という理念、戦争という現実
1 カント・モデルの主要な構成要素
2 批判から提言へ
3 ヨーロッパにおけるカント主義の継承と発展
4 新たな現実主義の台頭とカント主義の課題
第3章 国際政治の道義的主体とは──コスモポリタン─コミュニタリアン論争の行方
はじめに
1 普遍的な道義か、共同体の道義か
2 コスモポリタン─コミュニタリアン対抗軸の再設定
3 国家の道義性をめぐる論争
おわりに──二項対立をどう越えるか
第4章 介入はいかなる正義にもとづきうるか──誤用と濫用を排するために
はじめに
1 正義の誤用の先行
2 介入の是非をめぐる議論
3 介入を促す倫理観
4 正しき介入から合法的な介入へ
5 「無知のベール」再考──むすびにかえて
第5章 民主主義と武力行使──冷戦終焉後の展開とイラク戦争による「転回」
はじめに
1 民主国は武力行使に消極的か
2 民主国アメリカによる武力行使
3 「民主主義による平和」のための武力行使
4 武力行使の民主的正当性
第6章 グローバルな社会正義の思想
はじめに
1 格差を責任と義務で語るには
2 国際的社会正義の懐疑論──ロールズとコミュニタリアンのリベラルな同盟
3 コスモポリタンの正義論──国家の道義から人間の責任へ
おわりに
第7章 戦争史という思想──国際関係における反実仮想の効用
はじめに
1 世界大戦は不可避であったか
2 勝者の解毒剤──原爆投下の道義性
3 戦後日本のアフォリズムと反実仮想
おわりに
「科学化」の一途をたどる国際関係論は、主権国家体系にかわる新しい秩序をどう創るかという課題に応えきれていない。本書では、公正な国際秩序やグローバル・ガバナンスという構想を描くにあたって、思想の果たしうる役割を、英国学派、規範理論、ポストモダンの成果を織り込みながら検討する。
出典:勁草書房公式サイト