『マリアの首 幻に長崎を想う曲』田中千禾夫(日本劇作家協会)
2017年
134頁
原爆によってケロイドになった長崎浦上天主堂のマリア像が何者かによって、バラバラに盗まれている。戦争や被爆の体験を忘れようとする人々と、その爪痕を残し、記憶を風化させまいとする人々がいる。看護婦であり、夜の女にもなる美しい女・鹿。恨みのある男を探す美しいとはいえない女・忍。この二人とそれを取り巻く男たちや女たちの、様々な思いが時に詩的に、時に哲学的に語られる。また長崎弁のニュアンスと、挿入される劇中歌(芥川也寸志作曲)がドラマチックである。
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