『精撰 尋常小学修身書―明治・大正・昭和……親子で読みたい』八木秀次監(小学館文庫)
2002年6月1日初版発行
409頁
戦前の国定「修身」の教科書の話を徳目別に編集して収めた本。字は、カタカナの表記の所をひらがなに、新漢字・新かなに改められている。
よい話もあるが、全体としてはまあまあ。
神話の話が収められていないことに奇異を感じた。「はじめに」(p.4)に「今日通用しないものや誤解される可能性のあるものは採用しなかった。」とあるが、神話はこれに該当するのだろうか。
400ページ超の大部の本だが、文字はかなり大きく行間も広いので情報量としては半分の厚さ程度だろう。
巻頭に教科書にある絵が、カラーで収録されていてよい。(7ページ分)
「くるめがすり」(p.132)(久留米絣)が、とても良い話だった。ただ、この話に添えられた素敵な絵が省略されているのは残念だ。(国立国会図書館で読める。国立国会図書館 コマ番号45~)
ところで、本書にはルビがきちんと振られていないのがよくない。
引取る、有難い、攻寄せる、少い、など。これらは現代の普通の送り仮名とは違うのでルビを振るべきである。
迷、教、勢、始などは小学生には(へたすると高校生も)読めないだろう。
御製、出御などは大人でも読めない人がいるでしょう。
そのほかにもルビを振るべき箇所が多数ある。
カバーに「我が子、孫と声に出して読んでみませんか。」とあるのにこれではいけない。