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『言語哲学大全Ⅱ 意味と様相 上』飯田隆(勁草書房)

『言語哲学大全Ⅱ 意味と様相 上』飯田隆(勁草書房)全4巻

1989年
287頁




目次(収録作品)

序章 必然性小史――アリストテレスからフレーゲまで
 アリストテレス――本質と形而上学的必然性
 認識論的転回――必然性から確実性へ
 カントとミル
 フレーゲ――プラトニストとしての

第一部 分析的真理と言語的必然性
第1章 論理実証主義の言語哲学
 1.1 運動としての論理実証主義
 1.2 ウィトゲンシュタインと論理実証主義
 1.3 意味と検証

第2章 規約による真理
 2.1 必然性の源泉としての規約
 2.2 数学的真理は規約によって真であるか
 2.3 論理的真理は規約によって真であるか

第3章 分析性の退位――「経験主義のふたつのドグマ」
 3.1 「意味の物化」と同義性
 3.2 分析性と同義性
 3.3 還元主義とア・プリオリ
 3.4 維持しえない二元論:言語的要因と事実的要因
 3.5 全体論的言語観

第一部への文献案内

ウィトゲンシュタインの『論考』からクワインまで。論理実証主義の主要テーゼの一つである規約主義の成立と解体のドラマを追い、20世紀哲学の総決算をめざす。

出典:勁草書房公式サイト


序章の「必然性小史」が、分かりやすく良質な論説。

(p6~)
認識論的転回―必然性から確実性へ

古代の哲学におけるもっとも重要な問いのひとつは、世界の秩序に向けられたものであった。(略)「世界とは何か」、「存在とは何か」といった存在論的あるいは形而上学的問いが、古代の哲学の中心に位置していたと言えよう。

デカルトを代表とする近代の哲学者にとって、哲学の中心的問いは、こうした存在論的問いではない。それは「われわれは(あるいは、私は)、何を知りうるのか」とか「何が確実に知られうるのか」といった、認識論的問いに取って代わられた。近代における哲学の、こうした変貌に伴い、アリストテレス流の形而上学的必然性は、無意味として斥けられないまでも、哲学的議論の中心からは退場することとなった。その代わりに、哲学的議論の中心に登場して来たのは、われわれの認識にとって疑いえないという意味での「確実性」の概念である。

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