『みる きく よむ』レヴィ=ストロース、竹内信夫訳(みすず書房)
2005年
240頁
目次(収録作品)
プッサンを見ながら
ラモーを聴きながら
ディドロを読みながら
言葉と音楽
音と色
事物への眼差し
訳者あとがき
引用文献
人名索引
絵を見る、音楽を聴く、そして文学を読む…。現代の文化人類学を代表する著者は、20世紀ヨーロッパ精神を具現する人物でもあり、本書では、それまでの卓越した学問的営為によって到達した知見を踏まえたうえで「人間レヴィ=ストロースの風采が、フィロゾーフ(愛智者)としての面貌が、前景に出ている」(訳者)——たとえば、17世紀フランスの画家プッサンの「グランド・ジャット島の日曜日の午後」と、プルーストの『失われた時を求めて』を並置して「時間」という問題を考え、あるいは、18世紀の聴衆を熱狂させたラモーのオペラ「カストールとポリュックス」の旋律と和音の革新性にあらためて驚嘆する、というふうに。
芸術は、人間の営みにどのような位置を占めるのだろうか? 創造の源泉は? 芸術の普遍性とは? 読者はきっと、レヴィ=ストロースの「思考の快楽」の魅力に浸り、それを共有する愉しみに次から次へと誘われることだろう。
出典:みすず書房公式サイト