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『孤独な群衆』デイヴィッド・リースマン(みすず書房)

『孤独な群衆』(上下)デイヴィッド・リースマン、加藤秀俊訳(みすず書房)

上巻

2013年
384頁

「この本でとりあつかうのは、社会的性格と、ことなった地域、時代、集団にぞくする人間の社会的性格の相違についてである。われわれは、いったん社会のなかにできあがったことなった社会的性格が、その社会での労働、あそび、政治、そして育児法などのなかに展開してゆく仕方をかんがえてみたいとおもう。そしてとりわけ、十九世紀のアメリカの基調をなしたひとつの社会的性格が、まったくべつな社会的性格にだんだんと置きかえられてきている事情を、この本では問題にしてみたい。なぜ、こうした変化がおきたのか。どんなふうにこの変化はおきたのか。」

「社会の諸制度が個人のなかに、その社会にふさわしい性格をうえつけてゆく」
読み継がれて50年。個人と社会、時代との関わりを論じた不朽の名著、改訂訳版で登場。初版(1950年)から20年後に書かれた新たな「まえがき」を付す。

出典:みすず書房公式サイト



下巻

2013年
336頁

もしも、他人指向的な人間がじぶんがいかに不必要な仕事をしているか、そして、じぶんじしんの考えだの、生活だのというのがそれじしん他人たちのそれとおなじようにじつに興味深いものであるということを発見するならば、かれらはもはや群衆のなかの孤独を仲間集団に頼らないでもすむようになるであろう。人間はそれぞれの個人の内部に汲めどもつきない可能性をもっているのだ。そのような状態になったとき、人間はじぶんじしんの実感だの、抱負だのにより多くの関心をはらうようになるにちがいない。

「人間は何によって自律性を獲得することができるのか」
個人が「群衆のなかの孤独」から脱する道筋を真摯に模索する。ギトリン「解説」、加藤秀俊「『孤独な群衆』をめぐる半世紀」を付す。

出典:みすず書房公式サイト


目次(収録作品)上巻

日本語版へのまえがき
まえがき
20年をふりかえって――1969年版へのまえがき

第一部 性格

第一章 性格と社会のいくつかのかたち
I 性格と社会
  人口の潜在的高度成長期……伝統指向型/伝統指向の定義/人口の過渡的成長期……内部指向型/内部指向の定義/人口の初期的減衰期……他人指向型/他人指向の定義/三つの型を比較する/アテネの事例/いくつかの注意点
II 性格のたたかい
第二章 道徳性(モラリティ)から意欲(モラール)へ――誰が性格形成をしてきたか
I 親たちの役割の変化
  伝統指向段階での親たち/内部指向段階での親たち/性格と社会的流動性/親たちの苦労/家からの離別/他人指向段階での親たち/性格と社会的流動性/「子育て」から「親育て」へ/「納得づく」のルール
II 教師の役割の変化
  内部指向段階での教師たち/他人指向段階での教師たち
第三章 仲間たちの審判――誰が性格形成をしてきたか(つづき)
I 内部指向段階での仲間たち
II 他人指向段階での仲間たち
  判決/「みんなのうわさ」……好みの社会化/仲間集団での「敵対的協力者」
第四章 物語技術のさまざま――誰が性格形成をしてきたか(つづき)
I 歌とお話し――伝統指向
  炉端のメディア/「していいこと」と「わるいこと」
II 印刷物――内部指向
  ことばの鞭/本のなかのモデル/行きすぎたこども
III マスメディア――他人指向
  こども向け市場/勝ったものがみな貰う?/「機関車チュウチュウ号」――現代の教訓/自由の領域
第五章 内部指向の生き方
I 仕事人間
  経済的問題――相手は物質/星に願いを
II 「おまけ」としての快楽
  物持ちの消費者/すべてを忘れて/芸術とともに前へ、そして上へ/遊びも本気で
III 「自分らしき」を求めて
第六章 他人指向の生き方――「神のみちびき(インビジブルハンド)」から「お愛想(グラッドハンド)」へ
I 経済的問題――相手は人間――
  モノつくりの技術から人あしらいの技術へ/自由取引から公正取引へ/銀行口座(バンク・アカウント)から必要経費(エクスペンス・アカウント)へ
II 銀河系
第七章 他人指向の生き方(つづき)――もうひとつの顔
I 食と性の象徴的意味
  ふだんの食事から美食へ/性――最後のフロンティア
II 大衆文化をどう消費するか
  仲間にあわせた娯楽/戦場での生活技術/家庭での生活技術/むずかしい調和/孤独な成功/逃避よさようなら
III ふたつのタイプを比較する

下巻

第二部 政治

第八章 伝統指向、内部指向、他人指向――それぞれの政治スタイル
I 無関心派
  古いスタイル/あたらしいスタイル
II 道徳屋
  絶頂期の道徳屋/衰退期の道徳屋
III 内幕情報屋
  内幕情報のバランスシート
第九章 政治的説得――怒りと「やさしさ」
I 消費財としての政治
II メディアのやさしさ
  やさしさと「誠実信仰」/誠実とシニシズム
III メディアは政治から逃げるのか
IV 怒りのはけ口
V 夢のなかの責任感
第十章 権力のイメージ
I 指導する者、される者
  生産の指導者と消費の指導者
II 権力は誰の手に?
  拒否権行使グループ/支配階級の消滅
第十一章 アメリカ人とクワキトル族

第三部 自律性

第十二章 適応か自律か?
I 適応型、アノミー型、自律型
II 内部指向の自律型
III 他人指向の自律型
  ボヘミアン/性/やさしさ
第十三章 まやかしの人格化――職場生活での自律性への障碍
I 仕事の文化的定義
II 人づきあい、安楽主義、不可欠感
  ホワイトカラーの「個性化」――魅惑に向かって/階級間の会話/「不可欠人間」たち
III 人格化過剰の社会
  自動販売機対手のぬくもり
第十四章 強制される私生活化――余暇時間での自律性への障碍
I 社交性の拒否
II 社交性と女性の私生活化
III 社交性の詰め合わせ
第十五章 才能の問題――余暇時間での自律性への障碍(つづき)
I 「モノ」としての遊び
II 才能の諸形式
  大学院レベルの消費者/職人気質の可能性/趣味の世界での新批評
III 仕事以外のコンサルタント
IV こども市場の自由化
第十六章 自律性ユートピア

解説  トッド・ギトリン
1964年版への訳者あとがき
『孤独な群衆』をめぐる半世紀――改訂訳版へのあとがき  加藤秀俊

索引

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