2003年
209頁
定価:1,540円(税込)
目次(収録作品)
はじめに オールドメディアからニューメディアへ
第1章 極端に短い印刷の歴史
印刷のはじまり/グーテンベルグの活版印刷術/マスコミと高速大量印刷/高度経済成長時代の「活字」/活版印刷というもの/なぜ活版だったか/コンピュータの登場/ワープロ時代
第2章 私的印刷現代史
活版の工場へ/電算写植の導入/愚直なコンピュータと職人魂/活版の終焉/電算化の泥沼/DTPの衝撃/「個人」のための印刷システム/「言論の自由」と印刷/文字から画像へ/CTP
第3章 オンデマンド印刷論
置き忘れられた印刷/大量生産の時代/オンデマンド印刷のコンセプト/オンデマンド印刷の技術/ドキュテック/オンデマンド出版の背景/オンデマンド印刷の特徴/コンピュータ・データとの親和性/オンデマンド印刷の弱点/オンデマンド印刷を使った出版/日販ブッキング/リキエスタ/ブックパーク/本屋の店頭でのオンデマンド/大活字本/実験後のゆくえ/オンデマンド印刷論
第4章 マルチメディア
マルチメディアとは/マルチメディアの産み出すもの/マルチメディアはフルデジタル/CD-ROMの世界/『新潮文庫の100冊』/『広辞苑 マルチメディア版』/『マイクロソフト・エンカルタ』/マルチメディアの停滞/いでよ、マルチメディアの天才/CD-ROM、期待から落胆へ/インターネットの登場
第5章 インターネット
インターネットの世界/インターネット普及の理由/ネットの意味/自己増殖するシステム/万民の表現手段/表現の連鎖/商業利用へ/物のない物流/青空文庫/インターネット「本」の利点/「プロジェクト・グーテンベルグ」と著作権の呪縛 /インターネットが「本」に変わる日/「e-novels」の奮闘
第6章 オンライン・ジャーナル
アメリカからの衝撃/印刷による雑誌/電子の雑誌/メイルマガジン/ウェブマガジン/オンライン・ジャーナル/ハイワイヤー/学術論文のオンライン化の意義/オンライン・ジャーナルのメリット/領域横断検索の魔力/引用ネットワークの網の目/Oxford University Pressとの提携
第7章 メディア革命の結末
メディア革命の未来/メディアの逆転現象/情報の断片化/WWWの特性/共通知識の崩壊/テレビから共通話題の崩壊/趣味の多様化/「おたく」現象/「おたく」とインターネット/コレクターズ・フォーラム/国際おたくとマルチメディア/断片化の行く末/情報化社会の末路
終章 それで、どうする?
産業としての「本」/大英博物館大閲覧室/本の利点/アフリカの民話/本の挑戦 その一 オンデマンド対応/本の挑戦 その二 インターネット・シフト/インターネットと「本」の統合/いかなる「本」を作るか
あとがき
急激なメディア状況の変化と長引く不況によって、「本」は変貌を遂げつつある。電子化が果たされた出版・印刷界は、どこへ行こうとしているのか。『活字が消えた日』『印刷はどこへ行くのか』で知られる著者、京都の老舗印刷会社〈中西印刷〉の専務・中西秀彦が、印刷業の立場から、本とインターネット、オンデマンド出版の現状と未来を語る。出版印刷を知るためのガイドブックとしても最適。
出典:東京創元社公式サイト