2019年
264頁
定価:3,520円(税込)
目次(収録作品)
序章 友愛と連帯――錯綜する同一性と差異
はじめに
1 友愛から連帯へ
2 友愛における差異と相互性
3 連帯の問い
第一章 エミール・デュルケム(Emile Durkheim 1858-1917)
はじめに
1 「分業」という視座――スミスとデュルケム
2 分業の超経済的性格
3 機械的連帯と有機的連帯
4 アノミーと異常形態
5 自発的な協働の社会
6 職業組合と機会の平等は両立するか?
第二章 レオン・ブルジョア(Leon Bourgeois 1851-1925)
はじめに
1 自然の連帯と人間社会の連帯
2 準契約quasi-contratと自由な合意
3 「社会への負債」の真意――衡平の確保
4 平等と均衡のための諸方策
5 相互性の向かう先
6 能力の不平等について
補章一 ピエール-ジョセフ・プルードンと連帯の哲学
はじめに
1 プルードンにおける相互性
2 相互主義の例としての保険――政府の役割
3 自己利益と相互性
おわりに
第三章 レイモン・サレイユ(Raymond Saleilles 1855-1912)
はじめに
1 産業社会と事故の変容
2 民事責任におけるフォート
3 フォートからリスクへ
4 社会はリスクに満ちている
5 誰がリスクを引き受けるべきか?
6 リスクの理論と連帯
補章二 連帯社会における「正常と異常」
はじめに
1 デュルケムとブルジョア
2 サレイユの刑法理論におけるリスク
おわりに
第四章 シャルル・ジッド(Charles Gide 1847-1932)
はじめに
1 ニーム派消費協同組合の形成
2 協同組合運動史におけるニーム派
3 ブルジョア消費組合
4 社会主義組合
5 ニーム派とロッチデール原則
6 ジッドと連帯主義
おわりに
補章三 相互扶助組織の歴史と連帯
はじめに
1 連帯の哲学におけるmutualiteの語義
2 相互扶助組合と職人組合
3 相互扶助組合とパトロナージュ
4 相互扶助組合の性格
5 労災、疾病、失業、老齢の保障――義務か任意か?
おわりに
終章 贈与と連帯
はじめに
1 『贈与論』を取り上げる意図
2 彼らは奇妙なまでに贈りあう
3 未開人は合理主義者か?
4 贈与は自由か?――全体的給付の体系
5 連帯と贈与
6 連帯の二側面
おわりに――次なるテーマへ
連帯は、一方に国家の介入を拒否する自由放任主義、他方に革命を標榜する社会主義という深刻な社会分断の中で、自由と社会性の両立を目指す中庸を指す言葉として流行した。社会保障の理念的基礎となった連帯の思想は、実は20世紀福祉国家を再考するための視座をも提供する。思想誕生の現場に分け入り、その現代的意義を探る。
出典:勁草書房公式サイト