『ロールズ政治哲学史講義』ジョン・ロールズ、サミュエル・フリーマン編、 齋藤純一・佐藤正志・山岡龍一・谷澤 正嗣・髙山裕二・小田川大典訳(岩波現代文庫)全2巻
第1巻
2020年
544頁
目次(収録作品)
序論――政治哲学についての見解
第一節 政治哲学をめぐる四つの問い
第二節 政治哲学の四つの役割
第三節 リベラリズムの主要な観念――その源泉と内容
第四節 リベラリズムの中心テーゼ
第五節 初期状況
ホッブズ
講義Ⅰ ホッブズの世俗的道徳主義と社会契約の役割
第一節 序論
第二節 ホッブズの世俗的道徳主義
第三節 自然状態と社会契約の解釈
補遺A 自然状態を不安定にする人間本性の特徴(ハンドアウト)
補遺B
補遺C 寛大な本性の理念に関連した箇所
講義Ⅱ 人間本性と自然状態
第一節 はじめに
第二節 人間本性の主要な特徴
第三節 ホッブズの命題のための議論
補遺A 自然状態→戦争状態というホッブズの主張のアウトライン(ハンドアウト)
講義Ⅲ 実践的推論についてのホッブズの説明
第一節 理に適っていることと合理的であること
第二節 市民和合の理に適った条項の合理的基礎
補遺A ホッブズにおいて道徳的義務は存在するかどうか
補遺B ホッブズの自然法――『リヴァイアサン』第一四 ― 一五章
講義Ⅳ 主権者の役割と権力
ホッブズと立憲デモクラシーについての結語
補遺A 主権者の役割と権力(ハンドアウト)
補遺B 『市民論』と『リヴァイアサン』の対照について――主権者の再- 制度化
補遺 ホッブズ索引
ロック
講義Ⅰ ロックの自然法の教義
第一節 序言
第二節 自然法の意味
第三節 根本的自然法
第四節 平等の状態としての自然状態
第五節 根本的自然法の内容
第六節 自然権の基礎としての根本的自然法
講義Ⅱ 正統な体制に関するロックの解釈
第一節 混合政体下における抵抗
第二節 正統性に関するロックの基本的な論点
第三節 正統な政治体制をめぐるロックの基準
第四節 個々人の政治的責務
第五節 憲法制定権力と政府の解体
講義Ⅲ 所有権と階級国家
第一節 問題の提示
第二節 問題の背景
第三節 ロックによるフィルマーへの返答Ⅰ――第四章
第四節 ロックによるフィルマーへの返答Ⅱ――第五章
第五節 階級国家という問題
第六節 階級国家の起源に合わせた物語
ヒューム
講義Ⅰ 「原初契約について」
第一節 序言
第二節 ロックの社会契約に対するヒュームの批判
講義Ⅱ 効用、正義、そして賢明な観察者
第一節 効用の原理についての所見
第二節 正義という人為的徳
第三節 賢明な観察者
ルソー
講義Ⅰ 社会契約――その問題
第一節 序論
第二節 政治社会前史の諸段階
第三節 政治社会と政治的権威の段階
第四節 社会契約との関連
補遺A ルソー――人間本性の自然な善性の教義
補遺B
講義Ⅱ 社会契約――諸仮定と一般意志(一)
第一節 序論
第二節 社会契約
第三節 一般意志
講義Ⅲ 一般意志(二)と安定性の問題
第一節 一般意志の観点
第二節 一般意志――法の支配、正義、平等
第三節 一般意志と道徳的・政治的自由
第四節 一般意志と安定性
第五節 自由と社会契約
第六節 ルソーの平等に関する諸観念――どの点に特色があるか
ロールズが退職するまで三十年間ハーバード大学で行った「近代政治哲学」講座の講義録。自らの〈公正としての正義〉という構想に照らして、リベラリズムの伝統をつくった八人の理論家(ホッブズ、ロック、ヒューム、ルソー、ミル、マルクス、シジウィック、バトラー)を取り上げて解説する。『正義論』読解に不可欠の書。
出典:岩波書店公式サイト
第2巻
2020年
512頁
ミル
講義Ⅰ 効用についてのミルの考え方
第一節 序言――ジョン・ステュアート・ミル
第二節 ミルの功利主義の一つの読み方
第三節 究極目的としての幸福
第四節 明確な選好の基準
第五節 明確な選好の基準についてのさらなるコメント
第六節 ミルの根底にある心理学
講義Ⅱ 正義についてのミルの説明
第一節 ミルに対する私たちのアプローチ
第二節 ミルによる正義の説明
第三節 道徳における正義の位置
第四節 ミルにおける道徳的権利の特徴
第五節 ミルの二面的基準
第六節 他者と結びつこうとする欲求
講義Ⅲ 自由原理
第一節 『自由論』(一八五九年)の問題
第二節 ミルの原理についての予備的な論点
第三節 ミルの述べる自由原理
第四節 自然権(抽象的権利)について
結 論
講義Ⅳ 全体として見たミルの教説
第一節 序論
第二節 ミルの教説の枠組み
第三節 人類の恒久的利益の最初の二つ
第四節 他の二つの恒久的利益
第五節 明確な選好の基準との関係
第六節 個性との関係
第七節 卓越主義的な価値の位置
補遺 ミルの社会理論についての意見
マルクス
講義Ⅰ 社会システムとしての資本主義に関するマルクスの見解
第一節 はじめに
第二節 社会システムとしての資本主義のいくつかの特徴
第三節 労働価値説
補 遺
講義Ⅱ 権利と正義についてのマルクスの構想
第一節 正義についてのマルクスの見解におけるパラドックス
第二節 法律的構想としての正義
第三節 マルクスは資本主義を不正義として非難している
第四節 分配についての限界生産性理論との関係
第五節 価格のもつ配分的役割と分配的役割
講義Ⅲ マルクスの理想――自由に連合した生産者たちの社会
第一節 正義についてのマルクスの考えは一貫しているか
第二節 なぜマルクスは正義についての考えを明示的に議論しないのか
第三節 イデオロギー意識の消滅
第四節 疎外のない社会
第五節 搾取の不在
第六節 完全な共産主義――社会主義の初期の欠陥の克服
第七節 完全な共産主義――分業の克服
第八節 共産主義の高次の段階とは正義を超えた社会なのか
むすび
補遺
ヘンリー・シジウィック四講
第一講 シジウィック『倫理学の方法』
第一節 はじめに
第二節 『倫理学の方法』の議論の構造
第二講 正義と古典的効用原理についてのシジウィックの見解
第一節 正義についてのシジウィックの説明
第二節 古典的効用原理についての説明
第三節 効用の個人間比較(IP比較)についてのコメント
第四節 合理的な倫理学の方法の第一原理として見た場合の効用原理の特徴
第五節 説明のための事例としての自然的自由に対する批判
第六節 効用原理の定義についての補足
第三講 シジウィックの功利主義
第一節 功利主義についての序論
第二節 古典的効用原理についての説明(シジウィック)
第三節 効用の個人間比較についてのいくつかのポイント
第四節 個人間比較の十分な測定単位にとっての哲学的な制約
第五節 最大多数の最大幸福、ならびに総効用最大化説と平均効用最大化説の対立について
第六節 むすび
補 遺 基数的な個人間比較について
第四講 功利主義の要約
ジョゼフ・バトラー五講
第一講 人間本性の道徳的な構成原理
第一節 序論――バトラーの生涯(一六九二―一七五二年)、作品、ねらい
第二節 バトラーの敵対者
第三節 人間本性の道徳的な構成原理
第二講 良心の本性と権威
第一節 序論
第二節 私たちの道徳的能力の特徴
第三節 良心の権威についてのバトラーの議論の概要――第二説教 第四節 良心の権威についてのバトラーの議論の要約
第三講 情念の有機的組織
第一節 序論
第二節 バトラーの方法
第三節 同情の役割――人間の社会的本性の一部としての
第四講 利己主義に対するバトラーの反論
第一節 序論
第二節 快楽主義的利己主義に対するバトラーの異論
第五講 良心と自己愛の間に想定される葛藤
第一節 序論
第二節 バトラーの議論が首尾一貫してないとみなされる理由――良心と自己愛について
第三節 バトラーの道徳的心理学のいくつかの原理
補遺 バトラーについての補足事項
講義概要