『倫理の復権―ロールズ・ソクラテス・レヴィナス』岩田靖夫(岩波書店)
1994年
286頁
定価:6,160円(税込)
目次(収録作品)
ソクラテスの問い―原点への還帰
第1部 正義論
(正義論の基底―ロールズとアリストテレス/公共的合意による倫理―ロールズ哲学の基本的構造/人倫的世界における目的論―アリストテレスにおける自然的正義の基礎)
第2部 ソクラテスにおける超越の地平
(ソクラテスにおける超越的なもの/否定の精神と超越への予感―キルケゴールのソクラテス理解によせて)
第3部 レヴィナス存在のかなたへ
(超越と倫理―人間のかけがえのなさについて/レヴィナスの「無限」―神はどこに、どのように)
ロールズ正義論の哲学的背景を西欧倫理思想の伝統に探り、その発端と終末、ソクラテスとレヴィナスに「正義と超越」をめぐる西欧的思考のポジとネガを見定める。一方に、自己実現と競争の支配する世界、他方に、宗教的次元の生存―人間が生きるこの二つの地平を視野に収めて、社会的公正の理論と、超越をめぐる宗教的思考との関係を考える。ギリシア起源の合理主義と、ユダヤ・キリスト教的精神伝統の両面にわたりつつ、人間の社会性から宗教的実存までをつらぬく規範理論を探求した、年来の思索の結実。
アマゾン商品説明より