『社会統治と教育―ベンサムの教育思想』小松佳代子(流通経済大学出版会)
2006年
171頁
目次(収録作品)
序章 ベンサムを主題化するということ
第1章 ベンサム立法論における統治と教育
第2章 ベンサムの施設経営論
第3章 クレストメイシア学校構想
第4章 ベンサム教育論が目指した社会像
結章 近代教育論としてのベンサム教育論
近年我国では、教育基本法の改正が喧しく議論されている。まさに教育の真のあり方が問われている。
本書は、個人の自律性に依拠しつつ、なおかつ社会の統治はいかにして可能かをめぐって、ジェレミー・ベンサムの立法論・社会統治論と、その根幹に位置していたともいうべき教育論とを検討する。
ベンサムは教育術を統治の一形式と位置付ける一方で、立法とは区別されるべき私的倫理の領域のものだという。法による人々の振る舞いの統制を実質的に機能させるものとして、教育がその立法論の根幹に位置することを明らかにし、彼が構想していた社会構想にせまる。個人の自由と社会の統治とを両立させることがベンサムの課題であり、その両立のピボットに教育が位置していた。そして、近代教育がそうした個人の自由と社会統治との矛盾の中で登場してくる。
ベンサムは、教育を通して近代社会を全く新しく創り出そうとした。今、必読の書。出典:流通経済大学出版会公式サイト