『ベリングキャット―デジタルハンター、国家の嘘を暴く』エリオット・ヒギンズ、安原和見訳(筑摩書房)
2022年
368頁
目次(収録作品)
第1章 ラップトップ上の革命──ネット調査の可能性に気づく
マスコミ瀕死、ニュース万歳
シリア──取材のできない戦争
情報戦争と樽爆弾
『ニューヨーク・タイムズ』の第一面
化学兵器の露見
どこまで行けるか
第2章〈べリングキャット〉の誕生──探偵チームの形が整う
知らぬ者どうしの集まり
欺瞞と証拠
モスクワを指弾した学生
凶器の「指紋」
世界じゅうの探偵
第3章 事実のファイアウォール──デジタル・ディストピアへの反撃
反・事実コミュニティ
防火壁を築く
ネットの憎悪が実社会へ
罠を無効化する
一般の人々を巻き込む
第4章 ネズミが猫をつかまえる──スパイ事件が時代を画する事例に
オープンソースの範囲を越える
仮面を吹き飛ばす
第三の男
29155部隊と「研究所」
リスク
第5章 次なるステップ──正義の未来とAIのパワー
未来の戦争のための青写真
AIの危険と可能性
ここからどこへ
補遺 暗殺者と対決──〈べリングキャット〉、暗殺団に電話する
「チーム」が真のチームに
ベルリンのオートバイ殺人
大手メディアも驚くほどの速さと正確さで次々にスクープを飛ばし、いまや世界中から注目される調査報道ユニット“ベリングキャット”。シリア政府の戦争犯罪をあばき、ロシアの暗殺者の身元を特定し、ウクライナで民間機を撃墜した黒幕をも突き止める。いったいかれらは何者なのか。なぜそんなことが可能なのか。始まりは、キッチンテーブルで見た“アラブの春”の現地動画だった。ここはどこだ、映っているのは本物なのか。オンラインゲームにはまっていた著者は、ネット上に集った仲間とともに、独学でまったく新しい調査手法を作り上げてゆく。かれらが使うのは、SNSの投稿や流出した名簿など公開された情報のみ。フェイクもプロパガンダも混在するウェブ情報のなかから、権力者たちが望まない真実へたどりつくのだ。権力者は平然と、見えすいたウソをつく。その虚偽を覆すことは私たちにも可能だ―。ポスト真実の時代に生まれたデジタルハンターたちの活躍を描く。
出典:筑摩書房公式サイト