2019年
362頁
結婚式の祝辞としてよく引かれる「祝婚歌」,いのちの営みに静謐で温かい眼差しを投げかける「I was born」,現代における「受難」の意味を,心のやさしさに凝視める「夕焼け」――.穏やかな語り口の,深い愛情に満ちた,鮮やかな抒情の音をひびかせる,吉野弘(1926―2014)のエッセンス.(解説=小池昌代・谷川俊太郎)
出典:岩波書店公式サイト
目次(収録作品)
『消息』――(「谺」詩の会,一九五七)
君も
さよなら
burst
亡きKに
挨拶
記録
日々を慰安が
刃
奈々子に
ひとに
身も心も
雪の日に
美貌と心と
初めての児に
父
I was born
かたつむり
『幻・方法』――(飯塚書店,一九五九)
たそがれ
星
夕焼け
夏の夜の子守唄
岩が
『10ワットの太陽』――(思潮社,一九六四)
火の子
乳房に関する一章
鎮魂歌
素直な疑問符
六月
顔
仕事
離婚式に出会う
ヒューマン・スペース論
『感傷旅行』――(葡萄社,一九七一)
修辞的鋳掛屋
伝道
香水
エド&ユキコ
実業
眼・空・恋
妻に
或る朝の
三月
早春のバスの中で
みずすまし
一年生
海
鎮魂歌
湖
釣り
ざくろ
石仏
六体の石の御仏
種子について
初冬懐卵
雪の日に
室内
二月三十日の詩
新しい旅立ちの日
『北入曽』――(青土社,一九七七)
韓国語で
漢字喜遊曲
過
争う
生命は
茶の花おぼえがき
台風
虹の足
秋の傷
鏡による相聞歌
ほぐす
二月の小舟
小さな出来事
忘れられて
自分自身に
樹
豊かに
オネスト・ジョン
挿話
『風が吹くと』――(サンリオ,一九七七)
魚を釣りながら思ったこと
船は魚になりたがる
運動会
立ち話
祝婚歌
『叙景』(青土社,一九七九)
叙景
林中叙景
母
創世記
白い表紙
脚
日向で
カヌー
夜遅く
十三日の金曜日
声の大人たち
『陽を浴びて』――(花神社,一九八三)
陽を浴びて
夕方かけて
円覚寺
乗換駅のホームで
或る声・或る音
樹木
四つ葉のクローバー
過ぎ去ってしまってからでないと
漢字喜遊曲――王と正と武
池の平
車窓から
ある高さ
草
『自然渋滞』――(花神社,一九八九)
紹介
酒痴
雨飾山
短日
つくし
「止」戯歌
(覆された宝石)考
貝のヒント
冷蔵庫に
モジリアニの眼
人間の言葉を借りて
明るい方へ
最も鈍い者が
『夢焼け』――(花神社,一九九二)
夢焼け
某日
食口
ぬけぬけと自分を励ますまじめ歌
『吉野弘全詩集増補新版』――(青土社,二〇一四)
●「未刊行詩篇選」より
飛ぶ
滝
秋闌けて
おとこ教室
単行詩集未収録詩篇から
雪
埴輪族
原っぱで
錆びたがっている鉄の歌
食べない
生長
果実と種子
青い記憶
姉妹
フルート
雪の拳
揉む
夕陽を見つめながら
動詞「ぶつかる」
《解説》
還流する生命(小池昌代)
いないのに居る(谷川俊太郎)
吉野弘自筆年譜