1994年2月15日初版第1刷発行
361頁
定価:683円(税込)
目次(収録作品)
序にかえて もの思いの吟味
1 自分なるもの
2 意志的にものを分け入る
1 人間と自然
1 心の鏡
2 花のように自然の中で
3 連続性の信仰
4 輝かしい自然
5 変るものの中に変らぬものを見る
6 生きるとは常なる感動
7 調和美の実現
8 対話―「自然」に面と向くことの救い(一)
9 対話―「自然」に面と向くことの救い(二)
10 いのちの源泉
11 光のシグナル
12 光に向かわせられること
13 日の神
14 空間の尊重
15 すべて偉大なるものは単純なり
16 人間の建設
2 いと高きもの
1 「いと高きもの」への思慕
2 聖徳太子―親鸞の信仰系譜
3 苦に耐える勇気
4 秘められた信仰と空間の意識
5 敗戦か、終戦か
6 国学をめぐる不思議
3 生と死をめぐる現代の感性と思索
1 現代青年の感性と思索
2 神の死と神の再生と
3 神は生きている
4 明暗二態
4 道の根柢と継承
1 三島由紀夫と神輿
2 「日本人は何を守るか」をめぐる根源的差異
3 敗者の自己か、永遠の天皇か
4 真の教師
5 三島と川端をつなぐ魂の召喚
6 「輪廻転生」と「七生報国」は同じ質の信仰であるか
5 現在に結ぶ過去
1 「践みて思う」ということ
2 祖国を守る者の無常感
3 この孤独に徹するもの
4 人間をロボットに、ロボットを人間に
6 生命と生き甲斐
1 現代の思想状況と「生命」をとらえる視点
2 生き甲斐の追求
3 占領軍の教育文化政策
4 日本人の心
著者は、宗教学者。(1918-2006)
本書は、新聞や雑誌に掲載された論説・随筆を一書に編集したもの。
保守派の知識人による含蓄に富む質の高い良書。おすすめ。隠れた名著といえる。(PHP文庫でこのような本が刊行されていたことに驚いた)
三島由紀夫についても論じている(第4章)ので、三島を研究する人も必読。
(p.275)
国民の共同体意識は、抽象的イデオロギーからは発生せず、共に懐かしむことの出来る共通のいにしえを持つという生々しい実感によって育つのである。
(p.331-p.332)
人間に関する事が、人間の本質とは全くかかわりのない一つの事柄によって決定し得るとみる考え方が機械的決定論で、こういう考え方が、自由主義社会と共産主義とを問わず、いってみれば全世界を覆っている。要するに生命(いのち)というものが、そういういのちの本質にかかわりのない一つの事柄で決められるという、まことになげかわしい考え方なのである。本当だったら、いのちが反撥するはずで、反撥のないのがおかしい位なのである。
[筆者注]
(p.243)「『日本思想の系譜』(全二巻)(略)の後継事業として『外国文献中の名著邦訳集』をだすことになり」
これは、『欧米名著邦訳(明治)集 文献資料集』として刊行された。
amazon
(p.350)
「もてあそぶ 手にとらすれば 幼子が うちゑむ顔の うつくしきかな」
「もてあそび」の間違い。