『色彩について』ルートウィヒ・ウィトゲンシュタイン、中村昇・瀬嶋貞徳訳(ちくま学芸文庫)
2025年
256頁
目次(収録作品)
第Ⅰ部
第Ⅱ部
第Ⅲ部
第Ⅰ部と第Ⅲ部の対照
解説 村田純一
色の概念の論理は見かけ以上に複雑だ──。病床にあった晩年のウィトゲンシュタインは、ゲーテの『色彩論』に触発され、死の直前まで「色彩」の問題を考察し続けた。透明で白いガラスはなぜ想像できないのか、「赤っぽい緑」というような色はありうるか、全員が色盲である民族を想像してみよ……。『哲学探究』で示された「言語ゲーム」などの視点を採り入れた「色の論理学」ともいうべき思考実験は、われわれが自明視しがちな色彩概念を根本から揺さぶり、深い探究へと読者を誘う。同時期の遺稿『確実性の問題』にも通底する点がみとめられる、晩期の思想が端的に表れた断片集。
出典:筑摩書房公式サイト