2009年
217頁
目次(収録作品)
第1章 近世日本における「虫」(日本における農業の成立/江戸時代人と「蝗」/虫たちをめぐる自然観)
第2章 明治日本と“害虫”(害虫とたたかう学問/明治政府と応用昆虫学/農民VS明治政府/名和靖と「昆虫思想」)
第3章 病気―植民地統治と近代都市の形成(病気をもたらす虫/植民地統治とマラリア/都市衛生とハエ)
第4章 戦争―「敵」を科学で撃ち倒す(第一次世界大戦と害虫防除/毒ガスと殺虫剤/マラリアとの戦い)
江戸時代、虫は自然発生するものだと考えられていた。そのため害虫による農業への被害はたたりとされ、それを防ぐ方法は田圃にお札を立てるという神頼みだけだった。当時はまだ、いわゆる“害虫”は存在していなかったのだ。しかし、明治、大正、昭和と近代化の過程で、“害虫”は次第に人々の手による排除の対象となっていく。日本において“害虫”がいかにして誕生したかを、科学と社会の両面から考察し、人間と自然の関係を問いなおす手がかりとなる一冊。
出典:筑摩書房公式サイト