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『日本語のこころ』渡部昇一(講談社現代新書)

『日本語のこころ』渡部昇一(講談社現代新書372)

1974年10月28日初版発行
213頁




著者は、英語学者、評論家。

日本人がその情緒を表現するとき、それは大和言葉となって現れる。それから、日本人は古来、和歌の前に平等であった、という二つの視点からその例証をフォークソング、ポピュラーソング、俳句、和歌等々さまざま採り上げて考察した本。

(p.50-p.51)

『万葉集』全二十巻、長歌や短歌など合わせて約四千五百首、その作者たちは上は天皇、大氏族の長から、下は兵士、農民、乞食、遊女まで含み、男女の差別もない。地域的にいっても中央に限らず、東国、北陸、中国、九州の各地方にまたがっており、まごうかたなき国民歌集である。
このように全国民が身分や性別に関係なく参加できるものとしては、近代になっての選挙、あるいは義務教育による学校制度ぐらいのものであろう。その選挙ですら最初は貴族や上流階級にしか参加権はなく、国民一般に及んだのは十九世紀末、しかも女性に及んだのは第一次世界大戦後である。日本では第二次大戦後である。そこでようやく「法の前に平等」ということから、女性も投票や立候補ができるようになった。しかし八世紀の『万葉集』には下層階級の女性も参加しているのだから、これはどうしても日本人は「和歌の前に平等」であると言わなければなるまい。

なかなかおすすめの好著。

[関連]
『万葉集のこころ 日本語のこころ』渡部昇一(2019・ワック)新書
(本書を改題し復刊した新版。新元号「令和」が万葉集から選ばれたことに便乗しての改題だろうが、本書は万葉集を中心に論じているわけではない。)

『日本語のこころ』渡部昇一(2003・ワック)新書(ワック版の旧版)
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