単行本ペーパーバック(函入り)
1982年2月22日初版発行
371頁
目次(収録作品)
第1章 見るなの座敷
第2章 飯くわぬ女
第3章 鬼が笑う
第4章 姉の死
第5章 二つの女性像
第6章 異類の女性
第7章 耐える女性
第8章 老翁と美女
第9章 意志する女性
付録
索引
著者は、心理学者。(1928-2007)
我が国の昔話を分析心理学(ユング心理学)的に分析することにより、日本人の世界観を浮き彫りにしようと試みた書名どおりの本。
学問的なものではなく、カテゴリーとすれば評論。簡明な文章で分かりやすい。
「付録」として巻末に分析している昔話が収録されているので、前提の知識なく読める。
浦島を「永遠の少年」(プエル・エテルヌス)と分析。(p.165)
昔話に見られる「祖父―母―息子」のトライアッドの分析。(p.258)
日本神話における蛭子をアマテラス・ツクヨミ・スサノオのトライアッドに対する第四者と見て、日本の昔話にその第四者を受け入れようとする世界観・価値観が見られるという考察。(p.262)
等々、興味深い。
(「西洋」としか比較していないのが、本書の足りない所ではある)
昔話、日本人の心について興味のある人には、おすすめの良書。
なお、本書は、岩波現代文庫版で新しく刊行されいる。
[関連]
『定本 昔話と日本人の心』河合隼雄(2017・岩波現代文庫)