1991年3月20日初版発行
250頁
目次(収録作品)
第1部 意味の誤用
第2部 表現の誤用
寸暇を惜しまず?―混交表現
波紋は投げられるか?―重層表現
横車はどんな車?―代換表現
不平まんまん?―連語
第3部 表記の誤用
けんもほろほろ?―語形の誤り
興味深深?―漢字の誤記
おどさん?―漢字の誤読
著者は言語学者。
本書は書名の通り、日本語の誤用をまとめ論じたもの。新聞・雑誌・小説などから実例をあげ平易に解説している。
単に誤用だと指摘するのではなく、寛容な態度で解釈や分析などを行っているのに好感をもつ。
ことばに興味がある人は一読しても悪くはない本。
ただ、書名の「辞典」というのはよくない。本書は辞典ではない。
[筆者注]
「『三省堂国語辞典』の「的を射る」のところを見ると、「〔あやまって〕的を得る」と記録されている。」(p.180)とあるが、同辞典は「的を得る」は誤用ではないと改めている。
飯間浩明氏(『三省堂国語辞典』編集委員)のツイートより引用。
『三省堂国語辞典』第7版では、従来「誤用」とされていることばを再検証した。「◆的を得る」は「的を射る」の誤り、と従来書いていたけれど、撤回し、おわび申し上げます。「当を得る・要領を得る・時宜を得る」と同様、「得る」は「うまく捉える」の意だと結論しました。詳細は「得る」の項を。
— 飯間浩明 (@IIMA_Hiroaki) December 15, 2013
[関連]
『日本語誤用・慣用小辞典〈続〉』国広哲弥(講談社現代新書)
『新編 日本語誤用・慣用小辞典』国広哲弥(講談社現代新書)