『ウイグル人に何が起きているのか―民族迫害の起源と現在』福島香織(PHP新書)
2019年
256頁
目次(収録作品)
序章 カシュガル探訪―21世紀で最も残酷な監獄社会(羊の代わりに警官が増えた/ホテルの出入口でX線と金属探知ゲートのチェック ほか)
第1章 「再教育施設」の悪夢―犯罪者にされる人々(テロリストと間違われる/100万人以上のウイグル人が強制収容されている! ほか)
第2章 民族迫害の起源(ウイグルの起源/パミール以東の中央アジアの政治的独立は喪失された ほか)
第3章 世界の大変局時代における鍵―米中そして日本(「テロとの戦い」の標的にされたウイグル組織/文化大革命に対する抵抗 ほか)
中国共産党に忠実で、清く正しい人々。ゴミ一つ落ちておらず、スリもいない完璧な町。だが、この地のウイグル人たちをよく観察してみると、何かがおかしい。若い男性は相対的に少なく、老人たちに笑顔が見られない。観光客に接する女性たちの表情は妙に硬い。いまSF小説の世界にも似た暗黒社会が、日本と海を隔てた隣国の果てにあることを誰が想像しただろうか。さらに共産党による弾圧の魔手は、いまや在日ウイグル人にまで及んでいるという。現地ルポとウイグル人へのインタビューから浮かび上がる「21世紀最悪の監獄社会」の異様な全貌。「一帯一路」という大国の欲望に翻弄された弱小民族の悲哀が浮かび上がる。
出典:PHP INTERFACE