『自分で調べる技術―市民のための調査入門』宮内泰介(岩波アクティブ新書117)
2004年7月6日初版発行
199頁
横書き
著者は社会学者。
書名通りの内容の本。個人が「調べる技術」についての情報を具体的にまとめている。
雑誌記事・論文、本や統計データの探し方。フィールドワークについて。調査したデータの整理法等々。
なぜかレビューの評価が高いのだが、全体的にはあまり益するところはない書。
だいぶ前に役目が終わった本と言ってもよい。
この当時は、グーグルの検索も現在よりは劣ったものであり、またネット上に論文等の資料は乏しく、ネット上での情報収集についての情報サイトも少なかった。しかし、状況はけっこう前から一変し、本書に書かれている事の大半は、ネットで検索すれば容易に得られる状況になっている。
また、(仕方のないことだが)紹介されている情報は古く役に立たない部分もある。
いくつか例を挙げる。
(p.36)研究開発支援総合ディレクトリ(ReaD)は、2011年に「Researchmap」に統合された。
(p.59)「bk1」は「honto」に統合された。「クロネコヤマトのブックサービス」は2016年に「楽天ブックス」に統合。
「沖縄タイムスの記事の全部が無料で検索」(p.70)とあるが、筆者が調べた限り有料である。(以前は無料だったのかもしれない)
それから、情報整理については本書でも紹介されているが、そちらの本を読んだ方が有益である。
『「知」のソフトウェア』立花隆(講談社現代新書)
『発想法―創造性開発のために』川喜田二郎(中公新書)
二つ為になる箇所があった。
(p.46)書籍をコピーする際は、奥付もコピーして一緒にしておく。
必要な部分をコピーしただけでは後で出所や発行年などがわからなくなってしまう。メモしておくのではなく、コピーしておくというのがよい。これなら間違いがない。
(p.109)聞き取り調査で、録音はメモと違い自分がした質問が残るので、自分の質問を反省したり、相手が質問に誘導されたかどうかを確かめられたりする利点があると指摘している。気が付きにくい重要なポイントである。