『竹山道雄セレクション 4主役としての近代』竹山道雄、平川祐弘編(藤原書店)全4巻
2017年
616頁
目次(収録作品)
第Ⅳ巻序 平川祐弘
第Ⅰ部 心の軌跡
知られざるひとへの手紙/思い出/あしおと/磯/砧/
亡き母を憶う/寄寓/きずあと/樅の木と薔薇/
主役としての近代/焼跡の審問官
第Ⅱ部 死について
死について/ものの考え方について――演繹ではなく本質直観を
第Ⅲ部 単行本未収録コラム集
自分の亡魂/むかしの合理主義/歴史と信仰の解明を/
ビルマから東パキスタンへ――二つの会議に参加して/
キリスト教への提言――説得力に欠けはしないか/
人権のため人権侵害/文化自由会議に出席して/片山敏彦さんのこと/
亡き三谷先生のこと/私の八月十五日/私の戦争文学/
明治百年と戦後二十年/突然の死――帰るべきところに帰る覚悟/
オランダ通信/甘い態度は捨てよ――大学の存亡かけ戦う時/
鎌倉・人工の浸食/めぐりあい/死ぬ前の支度/
新聞連載コラム
(『東京新聞』1961年、『読売新聞』夕刊1966~67年、『サンケイ新聞』1965~66年)
〈竹山道雄論〉
高橋英夫「理性のスケープ・ゴート」
本多秋五「肩越しに時代をみる」
本間長世「教育者としての竹山先生」
本巻には竹山の心の軌跡を示す文章やものの考え方そのものを論ずる文章とともに、従来の著作集・単行本におおむね収録洩れとなっていたコラムの類も拾った。教養人竹山の反専制主義のコラムは、いま読んでも爽やかで不思議に今日的な意味をもつ。
戦後は左翼専制主義をその現場を訪ねた上で批判した。それらが竹山の本道を行く論であるとするならば、竹山の「話の小銭」が新聞コラムとなったといえよう。竹山の「話術のうまさにいたっては、文章がうまいなんぞという段ではない、ほとんど悪魔的である」と本多秋五は『物語戦後文学史』で舌をまいているが、コラムの一つ一つも捨てがたい作品と化している。
(第Ⅳ巻編者序より)出典:藤原書店公式サイト
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『主役としての近代』竹山道雄(1984・講談社学術文庫)
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