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『裸の人 神話論理4』レヴィ=ストロース(みすず書房)

『裸の人 神話論理4-1』(全5巻)レヴィ=ストロース、吉田禎吾・木村秀雄・中島ひかる・廣瀬浩司・瀧浪幸次郎訳(みすず書房)

2008年
449頁
定価:8,800円(税込)

目次(収録作品)

凡例
記号表


第1部 家族の秘密
I 隠された子供
II 狂った女と賢い乙女

第2部 こだまのゲーム

第3部 私生活情景
I 好色な祖母
II 終生変わることなく
III 「……これら双生の鏡の中に」

第4部 地方生活情景
I 溶ける魚
II 市の立つ場所
III 騒がしい料理見習い
IV 排泄物の活用法について

南アメリカのボロロ族「鳥の巣あさり」に発した『神話論理』の探求は、前の巻で北半球へ地理的範囲を拡大し、同時に「周波数変調(FM)から振幅変調(AM)に」(『食卓作法の起源』序、10ページ)と著者自身が喩える一時的な方法上の修正が施された。この巻では北アメリカの、しかしふたたび明確に限定された地域に舞台を定め、解像度の高い定常的な走査方法へと戻る。北西海岸に近い地域に、ボロロの基準神話M1とそっくりな「鳥の巣あさり」が発見される。これまで分析してきた厖大な神話群はすべて、自然から文化への移行という大テーマをめぐっての変奏曲であった。
天上世界と地上世界の交感の決定的断絶を代償に獲られたその移行、そして、人類のただひとつの神話へ。すでに『生のものと火にかけたもの』『蜜から灰へ』『食卓作法の起源』の各巻タイトルに示されてきた自然から文化への歩みは、『裸の人』で出発点に回帰する。「裸のもの」(le nu)は、文化との関係でいえば、自然に対する「生のもの」(le cru)と同等なのだから。本来数巻分にあたる内容を凝縮したといわれ、もっとも難解として知られる『神話論理』最終巻の第一分冊。

出典:みすず書房公式サイト


『裸の人 神話論理4-2』(全5巻)レヴィ=ストロース、吉田禎吾・木村秀雄・中島ひかる・廣瀬浩司・瀧浪幸次郎訳(みすず書房)

2010年
568頁
定価:9,350円(税込)

凡例
記号表

第5部 苦い知
I 天界の訪問
II ふたりの盲人
III コスモポリタニズムと外婚制

第6部 源流にさかのぼって
I 火と雨
II 結合

第7部 神話の黎明
I 二項操作子
II ただひとつの神話

終曲

訳者あとがき
文献
『神話論理』I‐IV 全巻神話索引(M1‐M813)
『神話論理』IV 総合索引

天界と地上のコミュニケーションの決定的断絶を代償に、人類は自然から文化へと移行した。鳥の巣あさりを追って、南北アメリカ800余の神話を踏査し、たどり着いたのは北アメリカ北西海岸の狭隘な一帯、そこは先史時代以来アジアからの移住民が南北両大陸へ拡散していった中心地であり、極端なまでに多様な言語を話す小規模な集団が入り組み居住する地域である。ここに見いだされるのは探究の初発から俎上にのぼってきた主要テーマのすべてを、みずからのうちに凝縮させた縮約モデルであった。

〈われわれと名のることにより本書の主体は,匿名的思考にさしだされた実体なき場所たらんとしている。そのとき匿名的思考はこの場にみなぎり、自己自身に距離をおき、みずからの真の構えをとりもどしてそれを実現し、みずからの無二の本性に内在する制約にしたがって自己編成をとげていくだろう。〉(「終曲」、本書783ページ)
こうして最終章「終曲」で使命を解かれ、一人称で語る権利をとりもどした著者は、ふたたび「わたし」を用いて語りだす。生きることと考えることの不可避の拘束のあいだで、神話により世界を分節して思考し、やがてはすべてが無に帰すことを知りつつ精神的努力を続ける人間の条件について。
レヴィ=ストロース100歳の生涯の探究に『神話論理』はどう位置づけられるのか。『神話論理』四部作は、レヴィ=ストロースという稀有な知性の、人が真新しい世界に直面したときの謎を解こうとしたブリコラージュの作業の現場報告ではなかったか。全巻を解説する「訳者あとがき」を付す。

出典:みすず書房公式サイト

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