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『食卓作法の起源 神話論理3』レヴィ=ストロース(みすず書房)

『食卓作法の起源 神話論理3』(全5巻)クロード・レヴィ=ストロース、渡辺公三・榎本譲・福田素子・小林真紀子訳(みすず書房)

2007年
671頁
定価:9,460円(税込)




目次(収録作品)

凡例
記号表


第1部 バラバラにされた女の謎
I 犯罪の現場で
II つきまとう半身

第2部 神話から小説へ
I 季節と日々
II 日々の営み

第3部 カヌーに乗った月と太陽の旅
I 異国的な愛
II 天体の運行

第4部 お手本のような少女たち
I お嬢様であるとき
II ヤマアラシの教え

第5部 オオカミのようにがつがつと
I 困難な選択
II マンダン風臓物料理

第6部 均衡
I 一〇個組
II 三つの服飾品

第7部 生きる知恵の規則
I 傷つきやすい渡し守
II 料理民族学小論
III 神話のモラル

訳者あとがき(渡辺公三)
文献
神話索引
総合索引

〈第I巻の表題となった「生のものと火にかけたもの」の対立は料理の不在と存在との対立であった。第II巻では、われわれは料理の存在を想定したうえでその周辺を探索した。すなわち料理の手前にある蜜と、料理の向こう側に位置するタバコに関する慣習と信仰である。同じ方向にしたがいつつ、この第III巻では料理の輪郭をたどった。すなわち料理の自然の側に位置する消化と、文化の側に位置する調理法から食卓作法までの広がりとである。……食卓作法について言えば、それは調理の仕方に上乗せされた摂取の作法であり、ある意味では二乗された文化的加工とも見なすことができる。〉(本書542ページ)

第I巻のボロロ「鳥の巣あさり」に呼応して、この巻の基準神話に選ばれるのは、アマゾン川源流近くに住むトゥクナ族の、狩人モンマネキの神話である。主人公がカエルや鳥やミミズやインコと結婚しては別れ、際限なく続くかともみえるその物語は、次々に挿話が付加される通俗連載小説に似ていながら、なお明確な感覚的特性の対比によって組み立てられる神話の構造を保持している。神話の構造はどのように劣化し、系列の継起する「歴史」に変容するのか。カヌーに乗って旅する月と太陽の神話とともに舞台は北アメリカに移動し、不均衡とリズム、周期性へと探求は進む。南北アメリカのインディアンの人々が自分たちの生きるこの世界を理解するための、思考の枠組みとしての神話に、いかなるモラルが内在するか。結びの章のペシミスティックな言明を、20世紀後半の激変を知る現代に、いかに読むことができるだろうか。

出典:みすず書房公式サイト

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