『里山・遊休農地を生かす―新しい共同=コモンズの形成』野田公夫・守山弘・高橋佳孝・九鬼康彰(農山漁村文化協会)
2011年
322頁
目次(収録作品)
序章 里山・草原・遊休農地をどうとらえるか―歴史をふまえて未来へ―
はじめに
1 里山・草原・遊休農地の位置づけを考えるために
―<境界性>と<入会性>をもった土地・土地利用とは―
2 人と山との関係史―日本近代・「山林比率二割九分」からの出発―
3 遊休農地から「日本的土地所有の再生」を考える
4 第1章(里山)・第2章(草原)・第3章(遊休農地)にむけて
おわりに―さらなる議論にむけて―
第1章 里山の歴史的利用と新しい入会制
1 一里塚のエノキから見えてくるもの
2 雑木林の環境と生きものの歴史を振り返る
3 秣場も生きものを守る働きをした
4 ウマがキーストーン種となった生態系
5 街道や田んぼの造成と川の流れが秣場の生きものの移動を保障した
6 ものの流れで環境をつなぎあわせる
7 「田んぼの学校」、エコツーリズム、エコミュージアム――地域の再生を目指した取組み
8 里山・休耕地をとらえなおし地域おこしにつなげるには
補論 震災対策に地域の歴史をいかす
第2章 草地利用の歴史・文化とその再生
1 森林の国日本の草地
2 いま、日本の草地があぶない
3 伝統的草地管理の三大技術
4 理想的な野草の利用に五つのF(エフ)
5 草原の危機に都市と農村が連携
6 欧州の農業環境政策に学ぶ
7 現代的コモンズの再構築へ
第3章 遊休農地問題とその解消に向けた取り組み
1 遊休農地はなぜ生まれるのか
2 遊休農地の解消を目指した取り組みの特徴
3 市民による自立した取り組み
里山、草原と人間のかかわりを東日本における刈敷や秣場、谷津田のモザイク的な利用と、西日本における火山の大草原への火入れと放牧を中心に歴史的に詳細にふりかえる。肥料、飼料の採取や野焼きなど、人間がかかわることで、生物多様性や盆花や秋の七草といった四季折々の民俗・文化が守られてきた歴史に学びつつ、これら農地と山の「境界域」が耕作放棄地となっている現状のなかで、都市住民をまきこんだ新たな「入会制」(コモンズ)による里山・草原再生の道を、実践を踏まえて提案する。
出典:田舎の本屋さん