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『陸と海―世界史的な考察』カール・シュミット(日経BPクラシックス)

『陸と海―世界史的な考察』カール・シュミット、中山元訳(日経BPクラシックス)

2018年
284頁




目次(収録作品)

1 陸と海への一瞥
2 エレメントとは何か?
3 海と対立する陸
4 沿岸から大洋へ
5 鯨と捕鯨者を称えて
6 オールで漕ぐ船から帆船へ
7 海賊たちと<海の泡の子>たち
8 キリグルー夫人の物語
9 大洋におけるヨーロッパの遺産を受け継いだイギリス
10 空間革命とは?
11 世界史の三つの実例
12 初めて惑星的な空間革命
13 ヨーロッパによる新世界の土地の占領と取得
14 この土地占有者たちの間の闘い
15 宗教戦争における陸と海
16 イギリスによる海の占有、陸と海の分離
17 島の本質の転換
18 魚から機械へ
19 マハンの<大きな島>
20 惑星的な空間革命の新たな段階

●最近の緊迫する世界情勢を反映して再び脚光を浴びている地政学の古典。
●世界史の進路を「陸の国」(ビヒモス)と「海の国」(リヴァイアサン)の戦いの歴史として考察。
●著者はナチスとの関係も深かった20世紀を代表する保守主義の理論家・思想家。友敵理論、決断主義で有名。一時、ナチスを擁護したが、後に離れる。戦後、逮捕されてニュルンベルク裁判にかけられたが、不起訴。

 15-16世紀から18世紀にかけて「空間革命」が起きた。大航海時代の経験を通じて人間は陸中心の世界観から、海を中心とする新たな世界観を獲得した。
いち早く海に目覚めたイギリスは、海という新しい空間に「自由貿易」という新しいルールを設定し、ヘゲモニーを確立した。国家的な領土権によって分割されている陸とは違い、海はどの国家にも属しておらず、イギリスはそこに自由貿易のルールを設定して管理することで、海洋を我が物にした。その結果、領土主権にもとづく国際法にかわって新たな国際法が準備された――。
 ヴェネチア共和国、オランダ、英国、アメリカの<海の国>の系譜に連なる海洋国家である我が国にとって、長らく<陸の国>であったお隣の中国が海洋に進出する勢いを見せているなか、これからの進路を考える際にシュミット地政学は示唆に富む古典と言える。

出典:日経BOOK PLUS


[関連]
『陸と海と―世界史的一考察』カール・シュミット、生松敬三・前野光弘訳(2006・慈学社出版)
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